【税理士が解説】会社設立後に必要な経理の知識|簿記・決算書の見方から会計ソフトの選び方まで【新宿】

情熱を込めた事業アイデアを胸に、晴れてご自身の会社を設立された皆様、誠におめでとうございます。しかし、会社の代表取締役となった瞬間から、あなたは事業のプロであると同時に、会社の財務状況を把握し、最終的な責任を負う「経営者」としての役割もスタートします。その経営の羅針盤となるのが、「経理」そして「会計」の世界です。

「経理や簿記と聞くと、数字ばかりで難しそう…」「自分は事業の専門家であって、経理の専門家ではない」――新宿で起業される多くの情熱的な創業者から、私達税理士はこのような不安の声を伺います。そのお気持ちは、痛いほどよく分かります。

しかし、断言します。経理は、単に税金計算のためだけの、退屈で面倒な作業ではありません。それは、あなたの事業の健康状態を正確に映し出す「人間ドック」であり、次の一手をどう打つべきかを示してくれる「航海図」であり、ビジネスという戦場で戦うための最も強力な「武器」なのです。

このページでは、あなたが経理の専門家になる必要はない、という前提に立ち、経営者として最低限知っておくべき経理の知識を、専門用語を極力使わずに、分かりやすく解説します。簿記の基本から、決算書の読み解き方、そして便利なクラウド会計ソフトとの賢い付き合い方まで。この記事を読み終える頃には、数字に対する苦手意識が、経営を加速させるワクワク感に変わっているはずです。

第1章:簿記の基本 – 会社の「お金の動き」を翻訳する技術

経理のすべての土台となるのが「簿記」です。簿記とは、会社が行う日々の取引(お金の動き)を、一定のルールに従って記録・計算・整理するための技術です。

なぜ簿記が必要なのか?

簿記を行う目的は、大きく分けて2つあります。

  1. 外部への報告(税務申告):年に一度、会社の経営成績や財政状態をまとめた「決算書」を作成し、それに基づいて税務署に税金を申告・納税するため。これは法律で定められた義務です。
  2. 内部での経営判断(現状把握):「今、会社は儲かっているのか?」「資金はあとどれくらいあるのか?」といった経営状況をリアルタイムで把握し、データに基づいた的確な意思決定を行うため。

義務であると同時に、経営者にとっては2番目の目的こそが、簿記を学ぶ最大の意義と言えるでしょう。

5つのグループで全ての取引を理解する

複雑に見える会社の取引も、簿記の世界では、たった5つのグループに分類して整理します。まずはこの5つのグループの役割をイメージで掴みましょう。

  • 資産:会社が保有するプラスの財産。
    (例:現金、預金、売掛金、PC、自動車、事務所など)
  • 負債:会社が将来支払わなければならないマイナスの財産(借金)。
    (例:借入金、買掛金、未払金など)
  • 純資産:会社の正味の財産。資産から負債を差し引いた、返済不要の自己資本。
    (例:資本金、これまでの利益の蓄積(繰越利益剰余金)など)
  • 収益:会社が稼いだお金の原因。売上など。
    (例:売上高、受取利息など)
  • 費用:収益を得るために使ったお金。経費など。
    (例:仕入、給料、家賃、広告宣伝費など)

日々の取引は、すべてこの5つのグループのどれかが増えたり減ったりする組み合わせで記録されていきます。

第2章:決算書の見方 – 会社の「健康診断書」を読み解く

日々の簿記の記録を集計し、事業年度の終わりに作成するのが「決算書(財務諸表)」です。これは、会社の1年間の成績と、期末時点での健康状態を示す、いわば「健康診断書」です。主要な3つの書類の見方を学びましょう。

① 損益計算書(P/L)- 会社の「稼ぐ力(収益性)」を見る

損益計算書(Profit and Loss Statement)は、「一定期間(通常は1年間)で、どれだけ儲かったか(または損したか)」を示す成績表です。見るべきポイントは「5つの利益」です。

  1. 売上総利益(粗利):売上高から、商品の原価(売上原価)を差し引いた利益。商売の基本となる、最も重要な利益です。
  2. 営業利益:売上総利益から、家賃や給料、広告費などの経費(販管費)を差し引いた利益。本業でどれだけ稼ぐ力があるかを示す、最も重要な利益指標です。
  3. 経常利益:営業利益に、本業以外の収益(受取利息など)や費用(支払利息など)を加減した利益。会社の総合的な収益力を示します。
  4. 税引前当期純利益:経常利益に、突発的な利益や損失(特別利益・特別損失)を加減した利益。
  5. 当期純利益:税引前当期純利益から、法人税などを差し引いた、最終的に会社に残る利益です。

② 貸借対照表(B/S)- 会社の「財産と借金(安全性)」を見る

貸借対照表(Balance Sheet)は、「決算日時点で、会社がどんな財産(資産)を、どうやって調達してきたか(負債・純資産)」を示す、財産の一覧表です。

必ず「資産の合計 = 負債の合計 + 純資産の合計」という等式が成り立ち、左右がバランスすることから「バランスシート」と呼ばれます。

  • 左側(資産の部):集めたお金を「何で」保有しているかを示します。現金化しやすい「流動資産」と、そうでない「固定資産」に分かれます。
  • 右側(負債・純資産の部):その資産を「どうやって」集めてきたかを示します。返済が必要な「負債」と、返済不要な自己資本である「純資産」に分かれます。

純資産の部がプラスで、年々増えているかが、会社の安定性を見る上での重要なチェックポイントです。

③【最重要】キャッシュフロー計算書(C/S)- 会社の「血液の流れ(生存能力)」を見る

税理士が警鐘を鳴らす「黒字倒産」の恐怖

経営者が損益計算書(P/L)だけを見ていると、致命的な罠に陥ることがあります。それが「黒字倒産」です。例えば、3月に1,000万円の大きな仕事を受注し、P/L上は大きな黒字になったとします。しかし、その入金が2ヶ月後の5月末だった場合、4月に支払うべき給料や家賃の「現金(キャッシュ)」が手元になければ、会社は倒産してしまいます。

利益と現金は、必ずしも一致しません。会社の命運を左右するのは、最終的には利益ではなく、日々の支払いを可能にする「現金(キャッシュフロー)」なのです。

キャッシュフロー計算書は、この現金の流れを把握するための書類です。以下の3つの区分で、現金の増減を示します。

  1. 営業キャッシュフロー:本業でどれだけ現金を稼いだか。会社の基本体力。ここがプラスであることが絶対条件。
  2. 投資キャッシュフロー:設備投資などでどれだけ現金を使ったか(または資産売却で得たか)。通常はマイナスになります。
  3. 財務キャッシュフロー:借入や増資でどれだけ現金を調達したか(または返済したか)。

第3章:クラウド会計ソフトとの賢い付き合い方

これら複雑な経理作業を、現代の起業家はゼロから手作業で行う必要はありません。「freee」や「マネーフォワード クラウド会計」といった、クラウド会計ソフトが強力な味方となります。

クラウド会計ソフトの絶大なメリット

  • 銀行口座やクレジットカードを連携すれば、取引明細を自動で取得し、AIが勘定科目を推測して仕訳を提案してくれる。
  • 請求書や見積書の作成、経費精算なども一気通貫で行える。
  • インターネット環境さえあれば、いつでもどこでも会社の財務状況をリアルタイムで確認できる。

なぜ「丸投げ」は危険なのか?

非常に便利なソフトですが、あくまで「ツール」です。最終的な判断は経営者自身が行う必要があります。

  • AIの誤認識:AIは取引内容までは判断できません。例えば、Amazonでの購入が、事業用の備品(経費)なのか、社長個人の買い物(経費ではない)なのかを区別するのは、あなた自身です。
  • 専門的な判断:高額なPCを購入した際、それを一括で経費にできるのか、数年にわたって減価償却すべきなのか、といった税務上の判断は、ソフトだけでは完結しません。

ソフトが自動作成した試算表を、「この数字はおかしくないか?」とチェックできる最低限の知識を持つこと、そして、専門的な判断は税理士に相談することが、賢い付き合い方です。

第4章:税理士との連携 – 経理を「経営の力」に変えるために

経理の知識は、独学でも身につけることは可能です。しかし、起業家であるあなたの時間は有限です。その貴重な時間を、経理の勉強に費やすべきでしょうか?それとも、専門家とパートナーシップを組み、あなたは事業のコア業務に集中すべきでしょうか?

私達が提供する「経理」の価値

  • 記帳代行・レビュー:面倒な入力作業を代行したり、ご自身で入力されたデータが正しいかをプロの目でレビューし、正確な月次決算を確定させます。
  • 決算書の「翻訳」:出来上がった決算書をただお渡しするのではなく、「この数字は、あなたの会社のこういう状態を示しています」「来月は、この点に注意しましょう」と、平易な言葉で翻訳し、具体的な経営のアクションに繋げます。
  • 未来の予測と対策:過去の会計データに基づき、将来の売上や利益を予測する「事業計画」や、資金ショートを防ぐための「資金繰り表」の作成を支援します。

終章:数字に強い経営者が、新宿の競争を勝ち抜く

会社設立後の経理は、避けては通れない道です。そして、その道を単なる義務として歩むのか、それとも経営の武器として活用するのかで、あなたの会社の未来は大きく変わります。

経理のすべてを一人で背負う必要はありません。しかし、専門家が出してきたレポートの意味を理解し、それに基づいて的確な質問を投げかけ、最終的な経営判断を下すのは、経営者であるあなた自身です。

私達は、あなたの会社の「財務部長」として、複雑な数字の世界を分かりやすく整理し、あなたが事業の舵取りに集中できるよう、全力でサポートします。新宿という競争の激しい市場を勝ち抜くために、私達をあなたの最初のパートナーとしてご活用ください。

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