会社の設立を決意し、事業への情熱に満ち溢れているあなた。その一方で、「設立手続きって、どうすればいいんだろう?」「専門家に頼むと高そうだし、自分でやった方が得なのかな?」という現実的な悩みに直面しているのではないでしょうか。特に、何かと物入りな創業期、新宿という一等地でビジネスを始めるなら、少しでもコストを抑えたいと考えるのは当然のことです。
しかし、会社設立における「損得」は、単純な費用の金額だけで測れるものではありません。それは、あなたの最も貴重な資源である「時間」を何に使うか、そして、将来の事業に影響を及ぼす「リスク」をどう管理するか、という極めて重要な経営判断なのです。
このページでは、新宿で数え切れないほどの会社設立を財務の側面からサポートしてきた私達税理士が、「費用」「時間」「リスク」という3つの明確な判断軸で、「自分でする(DIY)設立」と「専門家に依頼する設立」のどちらが本当にあなたのビジネスにとって「得」なのかを、徹底的に比較・解説します。この記事を最後まで読めば、あなたは自信を持って、ご自身の事業にとって最適な選択ができるようになるはずです。
第1章:【費用編】「自分でやる」は本当に安いのか? – 金銭コストの徹底比較
まずは、誰もが最も気にする「お金」の話から始めましょう。「専門家手数料がかからない分、自分でやれば安上がり」というのは、果たして本当なのでしょうか。
会社設立に必ずかかる法定費用(実費)
会社設立には、誰が手続きをしても、必ず国や公証役場に支払わなければならない「法定費用」が存在します。これは、いわば設立の入場料のようなものです。
- 定款認証手数料・謄本代:約52,000円(公証役場に支払う)
- 登録免許税:最低150,000円(法務局に納める税金)
これらを合計した約202,000円が、株式会社を設立するための、避けることのできない最低限の実費となります。
ケーススタディ別・総費用の比較
それでは、この法定費用を踏まえ、設立方法によって総費用がどう変わるのかを具体的に比較してみましょう。
設立方法 | 費用の内訳 | 総費用(目安) |
---|---|---|
① 自分で「紙の定款」で設立 | 法定費用(約20.2万円)+ 収入印紙代(4万円) | 約242,000円 |
② 自分で「電子定款」で設立 | 法定費用(約20.2万円)+ 機材・ソフト代(約1万円) | 約212,000円 |
③ 専門家に依頼(設立のみ) | 法定費用(約20.2万円)+ 専門家手数料(約5~10万円) | 約252,000円~ |
④ 専門家に依頼(顧問契約セット) | 法定費用(約20.2万円)+ 設立手数料(0円~) | 約202,000円~ |
【結論】金銭コストだけで見れば、専門家依頼が最も安くなる可能性がある
この比較表が示す、少し意外な事実にお気づきでしょうか。それは、設立後の「税務顧問契約」をセットで依頼する場合、設立手続きそのものの手数料を0円に設定している専門家事務所が多く、その場合の初期費用は、自分で電子定款に挑戦するよりも安くなる可能性がある、という点です。
これは、「設立は私達にとってお客様との最初の接点。設立後の経営まで末永くサポートさせていただくことで、長い目で見てお役に立ちたい」という専門家側の想いの表れでもあります。もちろん、顧問契約には月々の費用が発生しますが、創業期に最も重要な「初期の現金支出」を最小限に抑えられるという点は、起業家にとって計り知れないメリットと言えるでしょう。
第2章:【時間編】創業者にとって最も高価な資源 – 時間コストの比較
費用面での比較は、実はこの話の序章に過ぎません。起業家にとって、お金以上に貴重で、二度と取り戻せない資源、それは「時間」です。
会社設立DIYにかかる時間の内訳(初心者想定)
人生で一度きりの会社設立手続き。そのために、あなたはどれくらいの時間を投じる必要があるでしょうか。
- 学習・調査フェーズ:会社設立の流れ、必要書類、定款の作り方などを書籍やインターネットで学ぶ時間。
→ 推定:10~20時間 - 書類作成フェーズ:定款の条文を考え、登記申請書や就任承諾書など、十数種類に及ぶ書類を一つひとつ作成する時間。
→ 推定:15~25時間 - 手続き実行フェーズ:公証役場や法務局の窓口が開いている平日の日中に、何度も足を運ぶ時間。書類の不備で差し戻されれば、この時間はさらに増えます。
→ 推定:10~15時間
合計すると、最低でも40時間、多ければ60時間以上もの時間を、この一度きりの手続きのために費やす可能性があるのです。
「機会損失」という、目に見えない本当のコスト
ここで、経営者として考えてみてください。その貴重な40~60時間を、もし事業そのものに使っていたら、何ができたでしょうか?
- 最初の見込み顧客にアポイントを取り、商談をまとめることができたかもしれません。
- 製品やサービスのプロトタイプを完成させることができたかもしれません。
- 事業の魅力を伝えるウェブサイトや営業資料を作り込むことができたかもしれません。
これら「本来得られたはずの利益」を、管理手続きに時間を使ったことで失ってしまうこと。これを「機会損失」と言います。仮にあなたの時間単価を5,000円とすれば、50時間の機会損失は25万円に相当します。専門家手数料が数万円であったとしても、トータルで見れば、専門家に任せて事業に集中した方が、はるかに大きなリターンを生む可能性があるのです。
第3章:【リスク編】専門家が回避する、DIY設立の3つの落とし穴
費用や時間の問題以上に、DIY設立には事業の根幹を揺るがしかねない「リスク」が潜んでいます。
① 書類不備による登記の遅延リスク
法務局の登記審査は非常に厳格です。わずかな記載ミス、押印漏れ、日付の矛盾などがあれば、申請は「補正」または「却下」されます。その結果、会社の設立日が数週間も遅れてしまうと、法人口座の開設が遅れ、取引先への請求書が発行できず、オフィスの賃貸契約も結べない…といった形で、事業計画全体に深刻な影響を及ぼします。
② 将来のトラブルの種を埋め込む「定款」のリスク
インターネット上の雛形をそのまま使って作成した定款は、一見すると完成しているように見えます。しかし、その中身はあなたの事業に最適化されているでしょうか?
- 事業目的が狭すぎる:将来、事業を拡大しようとした際に、定款の目的に記載がなく、わざわざ3万円の登録免許税を払って定款変更をしなければならなくなる。
- 役員の任期が短い:株式譲渡制限会社は役員の任期を最長10年まで設定できますが、雛形のまま2年にしていると、2年ごとに役員変更登記(登録免許税1万円)が必要になる。
- 株式譲渡のルールが曖昧:共同経営者と将来トラブルになった際の、株式の取り扱いルールが定められておらず、経営がデッドロックに陥る。
専門家は、あなたの将来のビジョンまでヒアリングし、こうした未来のリスクを未然に防ぐための、戦略的な定款設計を行います。
③ 設立直後の「税務上の届出」の失敗リスク
税理士が最も警鐘を鳴らす、最大の落とし穴
登記が完了して安心したのも束の間、設立直後には、税務署や都道府県などに様々な届出を提出しなければなりません。その中でも「青色申告の承認申請書」は、提出期限を1日でも過ぎると、設立1期目の赤字の繰越控除などの絶大な節税メリットを、すべて失ってしまいます。
設立手続きに心身をすり減らしたDIY設立の起業家が、この設立直後の重要な手続きでミスをしてしまうケースは、後を絶ちません。設立前から税理士と連携していれば、こうした致命的なミスを確実に防ぐことができます。
終章:会社設立は、あなたの事業の「土台」作り
会社設立は、単なる手続きではありません。それは、これから何十年と続くかもしれない、あなたの事業の「土台」を築く、極めて重要な工事です。土台が傾いていたり、脆かったりすれば、その上に立派な家を建てることはできません。
「自分でやるか、専門家に頼むか」という問いは、突き詰めれば、「あなたは、起業家として、自身の貴重な時間とエネルギーを、土台作りのための穴掘りやコンクリート練りに使うべきか、それとも、どんな家を建てるかという設計図作りに使うべきか」という問いに他なりません。
私達は、起業家の皆様には、ぜひ後者、すなわち事業のコア業務に集中していただきたいと願っています。面倒で、専門的で、失敗の許されない土台作りは、その道のプロにお任せください。
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