【税理士が解説】法人化で経費にできる範囲はどこまで?役員報酬・社宅など究極の節税策|新宿

「法人成りすると、経費で落とせるものが増えて節税になる」という話を聞いたことがある方は多いでしょう。それは紛れもない事実です。新宿で個人事業主から法人へステップアップされたあなたも、この「経費」という強力な武器を正しく使いこなせるかどうかで、会社の利益、そしてあなたの手元に残るお金が大きく変わってきます。

しかし、この「経費」の世界は、知っているか知らないかで天国と地獄の差が生まれる、奥深い世界でもあります。ルールを知らずに何でも経費として計上すれば、将来の税務調査で手痛いペナルティを受けることになりかねません。逆に、使える経費を知らなければ、毎年余計な税金を払い続けることになります。

このページでは、新宿で多くの法人設立と税務戦略をサポートしてきた私達税理士が、法人化によって経費にできる範囲がなぜ広がるのか、という根本的な理由から、役員報酬、社宅、生命保険といった強力な節税策の具体的な導入方法と注意点まで、プロの視点で徹底的に解説します。

なぜ法人だと経費の範囲が広がるのか? 個人事業主との根本的な違い

この疑問を理解することが、法人における経費戦略の第一歩です。その答えは、「社長個人」と「会社(法人)」が法律上、まったくの別人格として扱われる点にあります。

  • 個人事業主の場合:事業の財布と個人の財布に法的な区別がありません。事業の利益は、そのまま事業主個人の所得となります。「自分に給料を払う」という概念はなく、生活費は経費にできません。
  • 法人の場合:会社は一つの独立した人格(法人格)を持ちます。社長(取締役)は、その会社に雇われている従業員の一人、という位置づけになります。そのため、会社が従業員である社長に対して提供する「給料」や「福利厚生」が、会社の経費として認められるのです。

この「社長=会社の従業員」という構図をうまく利用することで、個人事業主時代には考えられなかった様々な支出を経費化し、会社の利益を圧縮(=節税)することが可能になります。

【最重要】最大の経費「役員報酬」の正しいルールと節税効果

法人化による最大のメリットの一つが、自分自身への給料、すなわち「役員報酬」を経費にできることです。これにより、会社と個人の両方で税金の最適化を図ることが可能になります。

「給与所得控除」の絶大なメリット

役員報酬として給料を受け取ることで、個人の所得税を計算する際に「給与所得控除」という、いわばサラリーマン向けの経費のようなものを適用できます。これは、実際の経費の有無にかかわらず、収入に応じて一定額が自動的に差し引かれる非常に有利な制度です。個人事業主の利益には、この控除はありません。

【税務調査の最重要ポイント】役員報酬を経費にするための3大ルール

ただし、役員報酬は好きな時に好きなだけ払って経費にできるわけではありません。税務調査で必ずチェックされる、厳格なルールが存在します。

  1. 定期同額給与:事業年度の開始から3ヶ月以内に決定した金額を、その期中は毎月同じ日に、同じ金額で支払わなければなりません。業績が良いからといって、期中に勝手に増額したりすると、増額分は経費として認められません。
  2. 事前確定届出給与:役員にボーナス(賞与)を支払って経費にしたい場合は、あらかじめ「いつ、誰に、いくら支払うか」を税務署に届け出て、その通りに支払う必要があります。届出なしに支払ったボーナスは、原則として経費になりません。
  3. 不相当に高額でないこと:同業種の同規模の会社と比較して、あまりにも高すぎる役員報酬は、その超過分が経費として否認されるリスクがあります。会社の利益や、社長の働きに見合った適切な金額設定が求められます。

これらのルールを守らないと、経費として認められないばかりか、追徴課税という重いペナルティを課される可能性があります。

自宅家賃が経費になる「社宅制度」の賢い活用法

個人事業主では認められなかった「家賃の経費化」も、法人なら可能です。それが「社宅制度」の活用です。

社宅制度の仕組み

仕組みは「会社が大家さんから物件を借り上げ、その物件を役員であるあなたに貸し出す」という形を取ります。これにより、会社が大家さんに支払う家賃の一部を会社の経費として計上できるのです。

どれくらい経費にできるのか?

全額を経費にできるわけではありません。役員は、会社に対して「賃貸料相当額」以上を家賃として支払う必要があります。この賃貸料相当額の計算は複雑ですが、一般的には本来の家賃の10%~50%程度を役員が自己負担すれば、残りの50%~90%を会社の経費にできるケースが多いです。例えば、家賃20万円のマンションなら、年間120万円以上もの経費を創出できる可能性があります。

【注意】社宅制度導入のための必須手続き

ただ会社名義で家を借りて家賃を払うだけでは、社宅とは認められません。税務署に認めてもらうためには、以下の手続きが不可欠です。

  1. 社宅の利用ルールを定めた「社宅規程」を会社で作成する。
  2. 会社と大家さんとの間で「賃貸借契約書」を締結する。
  3. 会社と役員との間で「転貸借契約書(サブリース契約書)」を締結する。
  4. 役員は、定められた自己負担分の家賃を毎月きちんと会社に支払う。

これらの形式を整えて初めて、合法的な節税策となるのです。

知っている人だけが得をする経費テクニック

役員報酬や社宅以外にも、法人だからこそ使える強力な節税策は数多く存在します。

出張手当(日当)– 非課税のまま社長にお金を渡す魔法

遠方への出張の際、交通費や宿泊費といった実費とは別に、会社が役員や従業員に「日当(出張手当)」を支給することができます。この出張手当のすごい点は、会社側では全額経費(損金)にでき、受け取った社長個人側では所得税がかからない(非課税)という点です。これは、法律で認められた、極めて節税効果の高い「会社から個人へのお金の移転方法」です。導入には、旅費に関するルールを定めた「出張旅費規程」の作成が必須となります。

生命保険料 – 節税しながら将来の退職金を準備する

社長を受取人とする生命保険に会社名義で加入することで、支払う保険料の一部または全額を会社の経費にすることができます。そして、将来社長が退職する際に、その保険を解約して得られる解約返戻金を原資として、会社から社長へ「役員退職金」を支払うのです。役員退職金は、給料など他の所得に比べて税制上非常に優遇されており、個人の税負担を大きく軽減できます。「現在の節税」と「将来の資産形成」を同時に実現できる、一石二鳥の戦略です。

交際費 – 法人ならではの枠を活用

取引先の接待などの交際費は、個人事業主では経費計上に厳しい制限がありますが、資本金1億円以下の中小法人の場合、「年間800万円まで」または「飲食費の50%まで」のどちらか有利な方を選択して、全額を経費にすることができます。また、1人あたり10,000円以下の飲食費であれば、この枠とは別枠で全額経費にできます。これも法人ならではの大きなメリットです。

終章:節税は「知識」と「実行」。専門家と最強の防御を。

ここまで見てきたように、法人化によって経費にできる範囲は劇的に広がり、多くの節税の可能性が生まれます。しかし、そのすべてには「正しいルールと手続き」が伴います。知識がないまま見よう見まねで実行すると、数年後の税務調査で「これは経費として認められません」と指摘され、多額の追徴課税を支払うことになりかねません。

私達新宿の税理士、荒川会計事務所の役割は、単に決算書を作成し、税金を計算することだけではありません。お客様の事業内容と将来のビジョンを深く理解し、法律で認められた範囲内で、会社の利益、そして社長個人の手残りを最大化するための最適な「経費の戦略」を共に設計し、その実行を安全にサポートすることです。

「うちの会社では、もっと経費にできるものはないだろうか?」そう思った今が、専門家に相談する絶好のタイミングです。

あなたの会社で使える節税策、無料で診断します!
初回無料相談はこちらから
お電話でのお問い合わせはこちら メールでのお問い合わせはこちら