法務局での登記申請を終え、無事に会社設立、誠におめでとうございます!しかし、安堵するのはまだ早いかもしれません。実は、会社の「登記完了」は、マラソンで言えば、ようやくスタートラインに立ったに過ぎません。会社として実際に事業活動を行い、給与を支払い、そして将来の節税に繋がる重要な手続きが、この直後から一斉にスタートするのです。
これらの会社設立後の手続きは、提出先が税務署、都道府県、市区町村、年金事務所、労働基準監督署…と多岐にわたり、それぞれに非常に厳しい提出期限が設けられています。特に、たった1日でも期限を過ぎると、何十万、何百万円もの節税メリットを失ってしまう、恐ろしい届出も存在するのです。
このページでは、新宿で数多くの起業家を支援してきた私達税理士が、会社設立後に必ず行うべき手続きのすべてを、「いつまでに」「どこへ」「何を」「なぜ」提出するのか、という観点から完全網羅・徹底解説します。起業直後の貴重な時間を無駄にしないためにも、このガイドをブックマークし、一つひとつ着実にクリアしていきましょう。
STEP0:各種手続きの前に!まずやるべきこと
役所への届出の前に、まず済ませておくべき準備があります。これがないと、後の手続きが進まないため、最優先で取り組みましょう。
1. 会社の登記事項証明書(登記簿謄本)と印鑑証明書の取得
登記完了後、法務局で取得できるようになります。これらの書類は、銀行口座の開設や各種届出で「会社の身分証明書」として必ず求められます。それぞれ複数枚(3〜5部程度)まとめて取得しておくと、何度も法務局へ足を運ぶ手間が省けます。
2. 法人銀行口座の開設
個人事業主とは異なり、法人は事業用のお金のやり取りを必ず法人口座で行う必要があります。個人の口座と会社の資金を明確に分けることは、適切な経理と税務申告の第一歩です。近年、法人口座の開設審査は厳格化しています。登記事項証明書や事業計画書などを準備し、早めに申し込みましょう。
STEP1:【最重要】税務署への届出 ― 節税の成否はここで決まる
税金に関する届出は、会社経営の根幹です。ここで適切な手を打つかどうかが、将来の手残りを大きく左右します。提出先は、本店所在地を管轄する税務署です(例:新宿区は新宿税務署か四谷税務署)。
法人設立届出書
- 目的:「私たちの会社が、この場所に設立されました」と税務署に知らせるための基本的な届出です。
- 提出期限:設立の日から2ヶ月以内
- 主な添付書類:定款のコピー、登記事項証明書、株主名簿、設立時の貸借対照表など。
青色申告の承認申請書【絶対に提出してください!】
会社設立後の手続きの中で、この書類が最も重要と言っても過言ではありません。これを提出するだけで、計り知れない税務上のメリットを享受できます。
- 目的:「青色申告」という有利な方法で税務申告を行うための承認を受ける。
- 提出期限:設立の日以後3ヶ月を経過した日、または第1期の事業年度終了日のいずれか早い日の前日まで
- 主なメリット:
- 欠損金の10年間繰越控除:設立1年目に赤字(欠損金)が出ても、その赤字を翌年以降10年間の黒字と相殺できます。例えば、1年目に300万円の赤字、2年目に500万円の黒字が出た場合、2年目の課税対象は200万円(500万-300万)となり、税金を大幅に圧縮できます。
- 少額減価償却資産の特例:通常、10万円以上の備品(PCなど)は数年に分けて経費化(減価償却)しますが、青色申告なら30万円未満の資産を一括でその年の経費にできます。
- その他、多数の税制優遇(特別償却や税額控除など)の適用要件となります。
税理士からの警告:1日の遅れが命取りに
青色申告の申請は、提出期限をたった1日でも過ぎると、設立1期目には一切適用されません。もし初年度に大きな赤字が出てしまった場合、その赤字を翌年に繰り越せず、多大な税金を支払う羽目になります。これは、起業家が陥る最もったいない失敗の一つです。私達にご依頼いただければ、このような致命的なミスを100%防ぎます。
給与支払事務所等の開設届出書
- 目的:役員報酬や従業員給与を支払い、源泉所得税を徴収・納付する事務所を開設したことを届け出ます。
- 提出期限:給与支払事務所の開設の事実があった日から1ヶ月以内
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
- 目的:給与から天引きした源泉所得税は、原則として毎月10日までに納付しますが、この届出を提出することで、年2回(7月と1月)の納付にまとめられます。
- 対象:給与の支給人員が常時10人未満の会社
- メリット:毎月の納付手続きの手間が省けるだけでなく、資金繰りが大幅に改善します。手元に現金を長く留保できるため、特に資金の少ない創業期には非常に有効な手段です。
STEP2:地方税(都道府県・市区町村)に関する届出
国に納める国税(法人税など)とは別に、事業所のある地方自治体にも税金を納める必要があります。そのための届出です。
- 届出書類:法人設立・設置届出書
- 提出先:
- 都道府県税事務所:新宿区に本店を置く場合は、東京都新宿都税事務所が管轄です。
- 市区町村役場:東京23区の場合は、都税事務所への届出だけでよく、区役所への提出は不要です。
- 提出期限:東京都の場合は、設立の日から15日以内と、非常に短いため注意が必要です。
STEP3:社会保険・労働保険の手続き ― 社長1人でも加入義務あり
従業員の福利厚生はもちろん、経営者自身を守るためにも必須の手続きです。特に社会保険は、社長1人の会社でも加入義務がある点を誤解されている方が多いため、注意してください。
社会保険(健康保険・厚生年金保険)の手続き
法人は、業種や規模にかかわらず、社会保険の「強制適用事業所」となります。たとえ社長1名のみであっても、役員報酬を受け取る以上は加入しなければなりません。
- 提出先:本店所在地を管轄する年金事務所(例:新宿年金事務所)
- 提出期限:設立の事実があった日から5日以内と、全手続きの中で最も期限が短く、迅速な対応が求められます。
- 主な提出書類:
- 健康保険・厚生年金保険 新規適用届
- 健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届(役員・従業員の分)
- 健康保険 被扶養者(異動)届(扶養家族がいる場合)
専門家コラム:社会保険労務士との連携
社会保険・労働保険の手続きは、社会保険労務士(社労士)の専門分野です。私達税理士は、お客様の状況に応じて、信頼できる社労士と密に連携し、ワンストップで対応できる体制を整えています。税務・労務の両面から、起業家が事業に専念できる環境を構築します。
労働保険(労災保険・雇用保険)の手続き
こちらは、従業員(パート・アルバイト含む)を一人でも雇用した場合に必要となる手続きです。社長や役員のみの段階では不要です。
1. 労働保険関係成立届
- 目的:労災保険と雇用保険の保険関係が成立したことを届け出ます。労災保険は、業務中のケガなどに対する補償です。
- 提出先:本店所在地を管轄する労働基準監督署
- 提出期限:従業員を雇用した日の翌日から10日以内
2. 雇用保険適用事業所設置届・資格取得届
- 目的:雇用保険の適用事業所であることを届け出ます。雇用保険は、従業員が失業した際の給付金などの原資となります。
- 提出先:本店所在地を管轄するハローワーク(公共職業安定所)
- 提出期限:従業員を雇用した日の翌日から10日以内
終章:手続きの向こう側にある、事業の成功へ
いかがでしたでしょうか。会社設立後には、これほど多くの、そして複雑な手続きが待ち受けています。これらの手続きは、単なる事務作業ではありません。一つひとつが、あなたの会社の信用を築き、税務上の権利を守り、従業員との信頼関係を構築するための、重要な経営活動の一部なのです。
起業家であるあなたの時間は、無限ではありません。慣れない手続きに悩み、役所の窓口を駆け回る時間は、事業のコア業務(商品開発、営業、マーケティング)の時間を確実に奪っていきます。
私達新宿の税理士は、こうした煩雑な手続きのプロフェッショナルです。あなたに代わって、すべての手続きを正確かつ迅速に、そして最も有利な形で代行します。設立直後の大切な時期を無駄にせず、ロケットスタートを切るために。ぜひ、専門家の力を最大限ご活用ください。
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