事業の拡大、新規設備の導入、あるいは一時的な資金繰りの安定化など、法人経営において融資は避けて通れないテーマです。銀行や日本政策金融公庫といった金融機関に法人融資を申し込む際、「一体どのような点が審査されるのだろう?」と不安に感じる経営者様は少なくありません。
当税理士事務所では、数多くの法人様の資金調達をサポートする中で、金融機関が重視する「融資のポイント」を熟知しています。この記事では、金融機関の視点に立ち、融資審査で特に見られる9つの重要ポイントを、具体的な対策とあわせて詳しく解説します。融資成功への道筋を、私たち税理士と共に確認していきましょう。
---1. 融資審査で最も重視される「財務内容」
金融機関が最も重視する情報の一つが、貴社の「財務内容」です。これは、提出された決算書(損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書など)を通じて詳細に分析されます。
1-1. 損益計算書:事業の「収益性」と「稼ぐ力」
損益計算書では、特に以下の点が厳しくチェックされます。
- 営業利益・経常利益の黒字:
本業でしっかり利益が出ているか(営業利益)、そして本業以外の収益・費用を含めて会社全体で利益が出ているか(経常利益)が最も重要です。継続的な黒字は、安定した返済能力の証とみなされます。
- 赤字の場合の対応:
もし赤字の場合でも、それが「一時的な赤字」であり、かつ将来的に黒字化する具体的な見込みがあれば、融資を受けられる可能性は残ります。この際、事業計画書で赤字に至った原因を明確に分析し、以下の点を説得力をもって説明することが不可欠です。
- 具体的なコスト削減策
- 売上向上のための戦略(新規顧客開拓、新商品・サービス投入など)
- 市場環境の変化や一時的な特損であること
1-2. 貸借対照表:会社の「財政状態」と「安定性」
貸借対照表では、特に以下の点が重要視されます。
- 純資産の状況(債務超過の有無):
純資産がマイナス、つまり「債務超過(負債が資産を上回る状態)」に陥っている場合は、会社の安定性が低いと判断され、融資は非常に困難になります。債務超過は、会社の信用を著しく損なうため、解消が最優先課題です。
- 債務超過の場合の対策:
もし債務超過の場合でも、「経営改善計画書」を提出し、今後における具体的な対策(増資、自己資本の充実、不採算部門の撤退、資産売却など)を明確に説明できれば、融資の可能性を探ることができます。この計画書は、金融機関が最も注目する書類の一つです。
1-3. キャッシュフロー計算書:資金の「流れ」と「返済能力」
損益計算書が黒字でも、手元の現金が不足している「黒字倒産」というケースもあります。そのため、金融機関は「キャッシュフロー計算書」を通じて、実際の現金の流れを重視します。
- 営業キャッシュフローの状況:
本業でどれだけの現金を生み出しているかを示す営業キャッシュフローがプラスであることは、融資の返済原資が確保できるかどうかの重要な指標となります。
当税理士事務所からのアドバイス
財務内容は、融資審査の基礎中の基礎です。当事務所では、貴社の決算書を分析し、金融機関に説明が必要なポイントを洗い出すとともに、必要に応じて経営改善計画書の作成をサポート。金融機関への提出資料の質を高め、融資審査を有利に進めます。
2. 融資の目的と妥当性を示す「資金使途」
融資された資金が「何に」「いくら」「なぜ」使われるのか、その資金使途は融資審査において極めて重要なポイントです。金融機関は、貸したお金が事業の成長や収益向上に結びつくか、そして回収できる見込みがあるかを判断します。
- 具体的な使途の明示:
「運転資金」や「設備資金」といった大まかな括りだけでなく、例えば「新規事業開発のための広告宣伝費〇〇円」「生産性向上のための機械購入費〇〇円」など、具体的な項目と金額を明確にすることが求められます。
- 妥当性の説明:
なぜその資金が必要なのか、それによってどのような効果(売上増加、コスト削減、効率化など)が見込まれるのかを、事業計画書や資金繰り表と紐づけて論理的に説明することが不可欠です。使途が曖昧であったり、事業と関連性が低いと判断されると、融資は難しくなります。
3. 融資回収の要「返済原資」と「資金繰り計画」
金融機関は、貸したお金を確実に回収するために、貴社が「返済原資をどのように確保するか」を最も重視します。
- 返済原資の明確化:
融資の返済は、主に事業活動から得られる利益(キャッシュフロー)が原資となります。そのため、単に「売上が上がるから返せる」ではなく、具体的なキャッシュフローの創出見込みを説明する必要があります。
- 過去と将来の資金繰り表:
過去の資金の流れだけでなく、将来(少なくとも1年先、できれば2〜3年先)の資金繰り表を作成し、融資返済が滞りなく行えることを裏付ける必要があります。資金繰り表は、収入と支出のタイミングを詳細に示し、月末残高が常にプラスであることを見せる重要な資料です。
4. 融資審査を有利に進めるその他の重要ポイント
上記の3点に加え、金融機関は以下の要素も総合的に判断し、融資の可否を決定します。
4-1. 事業計画書の具体性と実現可能性
特に創業期や新規事業の場合、事業計画書は融資審査の「顔」となります。客観的で、具体性があり、実現可能な計画であることが重要です。
- 明確な事業戦略: どのような事業を、誰に、どのように展開し、どのように収益を上げるのか。
- 市場分析と競合優位性: 市場規模、ターゲット顧客、競合との差別化ポイントなど。
- 詳細な財務予測: 売上・費用予測、損益計画、資金繰り計画など、具体的な数値目標。
- リスク分析と対策: 起こりうるリスクと、それに対する具体的な対応策。
4-2. 経営者の資質と経験
経営者自身の経験、実績、業界知識、そして熱意も重要な評価対象です。特に、過去の事業経験、融資を受ける事業との関連性、事業にかける情熱などが重視されます。
4-3. 自己資金の充実度
経営者自身が事業にどの程度資金を投じているか(自己資金)は、事業への本気度や、リスクを負う覚悟を示すものとして評価されます。自己資金が多いほど、金融機関は貸し倒れリスクが低いと判断しやすくなります。
4-4. 担保・保証の有無と種類
融資の種類によっては、不動産などの担保や、信用保証協会の保証、あるいは経営者個人の連帯保証を求められる場合があります。特に中小企業や創業融資では、信用保証協会の保証付き融資が一般的です。
4-5. 既存の金融機関との取引実績
すでに取引のある金融機関であれば、過去の預金残高、入出金状況、他のローンの返済履歴などが確認されます。良好な取引実績は、信頼性を示す重要な要素となります。
4-6. 税金の支払い状況
法人税、消費税、地方税などの滞納がないかどうかもチェックされます。税金の滞納は、資金繰りの悪化や経営管理能力の低さを示すものと判断され、融資審査において非常に不利に働きます。
---まとめ:融資成功には、財務の「見える化」と「税理士」の伴走が不可欠
法人融資の審査は、貴社の財務内容、資金使途、返済原資という3つの基本に加え、事業計画の具体性、経営者の資質など、多角的な視点から行われます。
これらのポイントを全てクリアし、金融機関に「この会社なら安心して融資できる」と判断してもらうためには、正確な会計帳簿に基づく信頼性の高い決算書と、実現可能性の高い詳細な事業計画書・資金繰り表の準備が不可欠です。しかし、これらの書類を自力で完璧に作成し、金融機関との交渉に臨むのは、多くの経営者様にとって大きな負担となるでしょう。
当税理士事務所では、法人融資を成功させるための強力なパートナーとして、以下のサポートを提供しております。
- 融資に強い決算書作成支援: 金融機関の視点を踏まえ、貴社の財務状況を正確かつ有利に伝える決算書作成をサポートします。
- 説得力ある事業計画書・資金繰り表の策定支援: 貴社のビジネスモデルを深く理解し、実現可能性と収益性をアピールできる計画書を共に作り上げます。
- 金融機関との面談対策・同行: 融資担当者からの質問に対する的確な回答準備や、必要に応じた面談同行により、経営者様をサポートします。
- 経営改善計画の策定: 赤字や債務超過の場合でも、具体的な改善計画を策定し、金融機関との信頼関係構築を支援します。
資金調達は、事業の成長を左右する重要な経営判断です。融資の準備から実行、そしてその後の資金繰り管理まで、当税理士事務所がトータルでサポートいたします。お一人で抱え込まず、ぜひ一度、お気軽にご相談ください。
貴社の状況に合わせた最適な融資戦略をご提案いたします。初回相談は無料です。

