【初めての融資】信用保証制度を徹底活用!仕組みからメリット・注意点まで

「会社を立ち上げたばかりで実績がない…」「初めての融資で、保証人が見つからない…」
このような資金調達に関するお悩みをお持ちの事業者の方々にとって、「信用保証制度」は非常に強力な味方となります。

事業の成長には、適切なタイミングでの資金調達が不可欠です。しかし、特に創業期や初めて融資を受ける場合、金融機関からの信頼を得ることが難しく、融資審査の壁にぶつかることは少なくありません。

この記事では、信用保証制度の仕組みから、利用できる事業者、具体的なメリットとデメリット、そして利用時の注意点までを徹底的に解説します。この制度を理解し、賢く活用することで、あなたの事業の可能性を広げましょう。

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信用保証制度とは?その仕組みと役割

「保証人」の役割を担う公的制度

一般的に、金融機関から融資を受ける際には、返済が滞った場合に備えて担保保証人を求められることがあります。しかし、個人で事業を営む方や中小企業にとって、都合の良い保証人を見つけるのは容易ではありません。

そこで役立つのが「信用保証制度」です。この制度は、信用保証協会が公的な保証人となり、事業者が金融機関から融資を受けやすくする仕組みです。

この制度は、主に以下の3者で成り立っています。

  1. 事業者(借り手): 融資を受けたい中小企業や個人事業主。
  2. 金融機関(貸し手): 事業者に融資を行う銀行、信用金庫など。
  3. 信用保証協会(保証人): 事業者が万が一返済できなくなった場合に、金融機関へ融資金を立て替えて支払う(代位弁済)公的機関。

信用保証協会は、全国各地に設立されており、それぞれの地域に密着したサービスを展開しています。そのため、詳細な審査基準や制度の内容が協会ごとに若干異なる場合があるため、利用を検討する際は、事業所の所在地を管轄する信用保証協会の情報を確認することが重要です。

信用保証協会の役割と金融機関のリスク軽減

信用保証協会が保証人となることで、金融機関は「もし借り手が返済できなくなっても、信用保証協会が立て替えてくれる」という安心感を得られます。これにより、これまで信用力や担保が不足していた中小企業や個人事業主でも、金融機関から融資を受けられる可能性が高まります。

ただし、信用保証協会が保証する割合は融資の種類によって異なります。一般的な融資の場合、万が一貸倒れが発生した際に信用保証協会が代位弁済するのは融資額の80%が基本です。残りの20%は、金融機関がリスクを負うことになります。これは、金融機関にも一定のリスクを負わせることで、安易な融資を防ぎ、事業者に対する審査を適切に行わせるための仕組みです。

しかし、創業融資など特定の融資制度では、信用保証協会が100%のリスクを負うケースもあります。これは、創業期の事業者の資金調達を強力に後押しするための特別な措置と言えます。

金融機関の対応に注意
信用保証協会が100%保証するケースでは、金融機関は貸倒れのリスクを負わずに金利を得られるため、積極的に取り扱うはず…と思うかもしれません。しかし、一部の金融機関では、信用保証協会関連の融資は手続きに手間がかかるなどの理由から、取り扱いに消極的な場合もあります。事前に取引を希望する金融機関に確認することが賢明です。

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信用保証制度を利用できる事業者と融資上限額

利用対象者は「中小企業者」

信用保証制度を利用できるのは、中小企業基本法で定められている「中小企業者」です。これには、初めて融資を受けたいと考えている創業期の企業も含まれます。

中小企業基本法における中小企業の定義は、業種によって異なりますが、代表的な例は以下の通りです。

  • 製造業、建設業、運輸業、その他の業種:資本金3億円以下 または 従業員300人以下
  • 卸売業:資本金1億円以下 または 従業員100人以下
  • サービス業:資本金5,000万円以下 または 従業員100人以下
  • 小売業:資本金5,000万円以下 または 従業員50人以下

ほとんどの中小企業や個人事業主がこの定義に当てはまるため、利用対象となる可能性が高いです。

利用できない業種に注意

一方で、一部の業種は信用保証制度の対象外とされています。主な例としては、以下の業種が挙げられます。

  • 金融・保険業(一部を除く)
  • 風俗関連営業
  • 宗教法人、NPO法人などの非営利団体(一部の法人形態を除く)
  • 投機的事業

ご自身の事業が対象となるか不安な場合は、管轄の信用保証協会に直接問い合わせるのが最も確実です。

信用保証額の上限

信用保証制度には、保証を受けられる金額に上限が設けられています。

  • 普通保証(一般的な融資):
    • 無担保保証の場合8,000万円が上限です。
    • 有担保保証の場合:2億8,000万円が上限です。
  • 創業関連保証(創業融資の場合):
    • 上記よりも低い上限額が定められています。具体的には、3,500万円が上限となるケースが多いです。(制度の種類や保証協会によって異なる場合があります。)

あくまで「保証額」の上限であり、必ずしもその金額まで融資を受けられるわけではありません。最終的な融資額は、金融機関と信用保証協会の審査によって決定されます。

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信用保証制度を利用するメリット・デメリット

メリット

  1. 融資を受けやすくなる:

    最も大きなメリットです。信用力が低いと判断されがちな創業期や中小企業でも、信用保証協会が後ろ盾となることで、金融機関は安心して融資を実行できます。

  2. 担保・保証人が不要となる場合が多い:

    特に「無担保保証」の枠内で融資を受ける場合、事業用の担保や経営者以外の連帯保証人が不要となるケースが多いです。これにより、個人の資産を守りながら資金調達ができます。

  3. 幅広い融資制度に対応:

    創業融資、運転資金、設備資金など、様々な目的の融資に信用保証制度を利用できます。国の政策と連動した特別保証制度なども存在します。

  4. 金利が比較的低く設定されやすい:

    金融機関にとってリスクが軽減されるため、プロパー融資(信用保証協会の保証がない融資)と比較して、比較的低い金利で融資を受けられる可能性があります。

デメリットと注意点

  1. 信用保証料の支払い:

    信用保証協会に保証をしてもらうことに対し、事業者は「信用保証料」を支払う必要があります。これは融資額と保証期間、保証料率(事業者の信用状況などによって変動)に応じて計算され、一括で支払うか、分割で支払うかを選択できます。融資額とは別に発生する費用であるため、計画に入れておく必要があります。

  2. 審査に時間がかかる場合がある:

    金融機関の審査に加えて、信用保証協会の審査も必要になるため、融資実行までの期間がプロパー融資よりも長くなる傾向があります。特に、初めての利用や創業融資では、事業計画の策定や面談に時間を要します。

  3. 借金であることには変わりない:

    信用保証協会が保証してくれたとしても、融資は返済義務のある借金であることに変わりはありません。もし事業がうまくいかず返済が滞った場合、信用保証協会が金融機関に代位弁済しますが、その後は信用保証協会に対して返済義務(求償権)が生じます。「保証協会が払ってくれるから大丈夫」という安易な考えは禁物です。

  4. 事業計画の重要性:

    信用保証協会の審査では、事業者の信用力だけでなく、事業計画の実現可能性や収益性が重視されます。説得力のある事業計画書を作成し、自身の事業への熱意と具体性を示すことが成功の鍵となります。

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初めての融資で信用保証制度を活用するためのポイント

初めて信用保証制度を利用して融資を受けたいと考える方へ、いくつかの重要なポイントをご紹介します。

1. 練り込まれた事業計画書の作成

金融機関も信用保証協会も、あなたの事業が成功するかどうかを最も重視します。融資によって何を実現したいのか、どうやって売上を上げ、利益を出し、返済していくのかを具体的に示す事業計画書は、融資審査の成否を分ける最重要書類です。収益性、資金繰り、市場分析、競合との差別化など、多角的な視点から計画を練り込みましょう。

2. 専門家への相談

初めての融資申請は、書類作成から面談対策まで、不安な点が多いものです。税理士や中小企業診断士などの専門家は、事業計画書の策定支援や、融資制度の選定、金融機関との交渉アドバイスなど、多岐にわたるサポートを提供できます。適切な専門家のサポートを受けることで、融資の成功確率を格段に高めることが可能です。

3. 金融機関との関係構築

融資を申し込む前に、取引を希望する金融機関(支店)の担当者と事前に相談し、自社の事業内容や融資の目的を伝え、関係を構築しておくことも重要です。金融機関が信用保証協会との連携に積極的かどうか、どのような制度を利用できるかなども、ここで確認しておきましょう。

4. 自己資金の準備

特に創業融資の場合、自己資金(自己資金比率)は審査において非常に重視されます。自己資金が多いほど、事業への熱意と計画性が評価され、融資の成功確率が上がります。融資を申し込む前に、できる限りの自己資金を準備するようにしましょう。

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まとめ

信用保証制度は、特に中小企業や創業期の事業者にとって、資金調達の大きな助けとなる強力な公的制度です。返済義務のない助成金・補助金とは異なり、返済の義務がある「融資」ですが、事業の成長には不可欠な資金源となり得ます。

制度の仕組みを正しく理解し、ご自身の事業計画をしっかりと練り上げ、必要であれば専門家のサポートも活用することで、初めての融資を成功させ、事業のさらなる発展に繋げていきましょう。

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