【創業融資】「代表者の個人保証」を外すための、会社設立時の3つの戦略的工夫

あなたは今、人生を賭けた「起業」という輝かしい一歩を踏み出そうとしています。

しかし、その希望に満ちた胸の片隅で、一つの重く、そして暗い不安が消えずにくすぶってはいないでしょうか。

「もし事業が失敗したら…」
「創業融資で借りた数百万、数千万円の借金はどうなる?」
「会社が倒産しても、その借金は私個人の借金として一生背負い続けることになるのか…?」

その不安の正体こそが、日本の中小企業金融の長年にわたる慣習であり、そして多くの経営者の再起を妨げてきた呪縛でもある、「代表者(経営者)の個人保証(連帯保証)」です。

あなたは、「会社は有限責任だから倒産しても社長個人は関係ない」と思っているかもしれませんが、創業融資においてあなたが「個人保証」を差し入れた瞬間、その「有限責任」の壁は完全に消滅します。あなたの会社とあなたの個人の人生は、法的にそして経済的に、一つの「運命共同体」となるのです。

しかし、もしその重い鎖を最初から身につけることなく、あなたの個人の人生と家族の資産を完全に守りながら、堂々と事業に挑戦できる道があるとしたら…?

この記事は、そのあなたの人生を守るための究極の「法務・財務戦略ガイド」です。

「個人保証を外してほしい」と金融機関に「お願い」するのではありません。

金融機関が「この経営者とこの会社には、個人保証など不要だ」と自ら判断せざるを得ない完璧な「状態」を、会社設立のまさにその瞬間に、あなたが戦略的に「設計」するのです。

その高度な設計図の全てを、新宿で数えきれないほどの起業家の人生を守ってきた私たちが徹底的に解説します。

第1章:【時代の転換点】国が本気で「個人保証」を終わらせようとしているという真実

まず、あなたに知ってほしい追い風(トレンド)があります。

かつて、金融機関が中小企業に融資を行う際、「代表者の個人保証」を取ることは、呼吸をするのと同じくらい「当たり前」の慣習でした。

しかし、国(金融庁・中小企業庁)は、この古い慣習こそが経営者の大胆な事業展開や失敗後の再チャレンジを妨げる最大の要因であると判断。「経営者保証ガイドライン」という方針を打ち出し、「金融機関は安易に個人保証に頼るな」という強いメッセージを発信し続けています。

つまり、「個人保証を外す」というあなたの挑戦は、もはや無謀な要求ではなく、国が後押しする正当な流れなのです。

ただし、国は「無条件で外せ」と言っているのではありません。

金融機関が個人保証を求めなくても良い条件として、以下の3つを挙げています。これこそが、あなたの融資戦略の全てです。

金融機関が個人保証を免除するための「3つの条件」

要件 審査官の視点
① 公私混同の排除 法人の資産と個人の資産が明確に分離されているか?(融資の使途は明確か?)
② 財務の健全性 会社の返済能力は十分か?経営者自身もリスクを取っているか?(=資本金)
③ 情報の透明性 融資後も誠実な情報開示(試算表の報告など)が期待できるか?専門家の目が入っているか?
  1. 法人の資産と経営者個人の資産が明確に分離されているか(公私混同の排除)
  2. 財務基盤が健全で返済能力が十分か(財務の健全性)
  3. 経営の透明性が高く金融機関への情報開示が誠実に行われるか(情報の透明性)

あなたの会社設立時の「工夫」とは、この3つの条件を設立の瞬間に完璧に満たしているという客観的な証拠を作り上げること、に他なりません。

第2章:【3つの戦略的工夫】個人保証を回避する「最強の会社」の設計図

では、具体的に会社の設立準備の段階で、何をどう設計すれば良いのでしょうか。

個人保証を外すための「会社設立時」3つの戦略

戦略的工夫 満たすガイドライン要件 具体的な行動
① 潤沢な資本金 ② 財務の健全性 「自己資金」の大部分を「資本金」として登記する。(見せ金ではない証明)
② 高精度な事業計画書 ① 公私混同の排除 「見積書」を揃え、「合理的な役員報酬」を設定する。(資金使途の明確化)
③ 認定支援機関と組む ③ 情報の透明性 「中小企業経営力強化資金」を利用する。(専門家による経営の透明性を担保)

工夫1:【財務の健全性】「資本金1円」の誘惑を断ち切れ。潤沢な「自己資金(資本金)」こそがあなたの「最初の誠意」

審査官の思考:「創業融資の審査の本質は、我々(金融機関)と経営者のリスクの分担だ。経営者がリスクを一切取らず(資本金1円)、我々に100%リスクを負わせよう(融資1,000万円)とする、そんな虫の良い話があるか。

経営者が自ら人生を賭けて貯めてきた『自己資金(例:300万円)』を会社の『資本金』として法的に投下し、そのお金を事業のリスクに晒している。その揺るぎない『覚悟』を見せて初めて、我々も残りのリスクを取る覚悟ができる。」

あなたが設立時にすべきこと
「資本金1円」や「資本金10万円」といった見栄えの悪い会社設立は絶対に避けてください。それはあなたの「覚悟のなさ」を公言しているようなものです。

あなたが事業計画書に「自己資金300万円」と書くのであれば、その全額あるいは大部分を、法務局に登記する会社の「資本金」として堂々と設定してください。

この「登記簿謄本に刻まれた資本金の額」こそが、あなたの自己資金が「見せ金」ではないことの最強の証明であり、金融機関が求める「財務基盤の健全性」の第一歩なのです。

工夫2:【公私混同の排除】「事業計画書」の精度があなたの資質を証明する

審査官の思考:「この経営者は、会社のお金と個人のお金をきちんと分けられる人物か?融資したお金が個人の生活費や遊興費に消えてしまう『公私混同』のリスクはないか?」

金融機関は、あなたのこの資質をあなたの「事業計画書」の精度から判断します。

あなたが設立時にすべきこと
「創業計画書」の作成において、以下の2点を徹底的に磨き上げてください。

  1. 完璧な「資金使途」の明示:
    「設備資金」の全ての項目に客観的な「見積書」が添付されている。「運転資金」の全ての項目が「家賃〇ヶ月分」「人件費〇ヶ月分」と1円単位で論理的に積算されている。
    → これが「融資したお金が事業計画書通りに100%使われる」という透明性を担保します。
  2. 合理的な「役員報酬」の設定:
    「役員報酬」の欄が「ゼロ」でも「高すぎる」でもいけません。「経営者個人の最低限の生活費(家計簿ベース)」を算出し、それを事業のコストとして堂々と計上する。
    → これが「この経営者は会社と個人の財布を明確に分離し、計画的に資金を管理できる人物だ」という「公私混同をしない」ことの何よりの証明となるのです。

工夫3:【情報の透明性】「最強の融資制度」を選ぶことそのものが戦略である

審査官の思考:「この経営者は融資実行後、毎月きちんと会社の業績(試算表)を私たちに報告し、経営の透明性を保ってくれるだろうか?」

この「未来への約束」をどう証明するか。

その答えこそが、**日本政策金融公庫の「中小企業経営力強化資金」を活用する**という選択そのものなのです。

あなたが設立時にすべきこと
この「中小企業経営力強化資金」は、国が認定した専門家である「認定経営革新等支援機関(私たち荒川会計事務所もその一つです)」の支援を受けて事業計画書を策定することが利用の絶対条件です。

そして、この制度は、

  1. 「自己資金要件」が実質免除される
  2. 「超・低金利」が適用される

という圧倒的なメリットに加えて、

「融資実行後も、認定支援機関(税理士)が事業者に寄り添い、定期的に経営状況をモニタリングし、金融機関とも情報を共有する」

というプロセスが制度そのものに組み込まれています。

つまり、あなたがこの制度を選んだ瞬間。あなたは「私は専門家とタッグを組み、経営の透明性を確保することをここに誓います」と、国と金融機関の双方に宣言したことになるのです。

これこそが、金融機関が求める「情報の透明性」の条件を完璧に満たす究極の一手なのです。

第3章:【FAQ】「経営者保証の免除」に関する一歩進んだ疑問

最後に、この個人保証の解除という高度な戦略について、さらに深く検討されている起業家の皆様から、私たちが特によくお受けする専門的なご質問とその回答を、Q&A形式でまとめました。

Q1. 2024年4月の制度改正で、新創業融資制度の「自己資金10分の1要件」が変わったと聞きました。これは保証にどう影響しますか?

A1. はい、これは非常に重要な改正です。

改正前は、「新創業融資制度」は自己資金10分の1が必須要件でした。

改正後、「新創業融資制度」という名前は廃止され、その「無担保・無保証」の機能は、「新規開業資金」などのベース制度の「特例」として組み込まれました。

そして、その「新創業融資の特例」を適用するための要件として、「自己資金10分の1」は依然として残っています。

結論
つまり、あなたが日本政策金融公庫で「無担保・無保証」を勝ち取るための王道は、今も昔も「自己資金10分の1の証明」であるという事実は変わっていません。

そして、その唯一の例外こそが、第2章で解説した「認定支援機関(税理士)と組むことで『中小企業経営力強化資金』を利用し、その自己資金要件そのものを撤廃する」というプロの戦略なのです。

Q2. 信用保証協会(制度融資)でも個人保証は外せますか?

A2. はい、可能ですが、公庫とは異なるアプローチが必要です。

信用保証協会には、経営者の個人保証を免除するための2つの主な選択肢があります。

金融機関別「個人保証」免除のアプローチ

金融機関 保証免除のアプローチ 創業時の戦略
日本政策金融公庫 (JFC) 「新規開業資金(旧:新創業融資特例)」または「中小企業経営力強化資金」の要件を満たす。 「自己資金10分の1」を証明する。または「認定支援機関」と組む。
信用保証協会 (CGC) 「事業者選択型 経営者保証非提供制度」を利用する。 追加の保証料(0.25%〜)を金利に上乗せして支払うことで、保証を免除してもらう。
  1. 経営者保証ガイドラインの充足:
    第1章で解説した、「①公私混同の排除」「②財務の健全性」「③情報の透明性」の3要件をあなたの事業計画書と財務体制で完璧に満たしていることを証明し、交渉する方法。これは創業期にはハードルが非常に高いです。
  2. 「事業者選択型 経営者保証非提供制度」の利用:
    これが現実的な選択肢です。これは、「私は個人保証を提供しません」とあなたが宣言する代わりに、そのリスク分として通常の信用保証料に0.25%~0.45%の金利を上乗せして支払うという制度です。
    つまり、あなたは「お金(追加の金利コスト)」を支払って「個人の安全(保証の免除)」を買うという、保険のような取引を行うのです。

Q3. 創業時に個人保証を入れて融資を受けました。もう一生外すことはできませんか?

A3. いいえ、外すチャンスはあります。

それこそが、あなたの事業が成長した数年後に訪れる「追加融資」「借り換え」のタイミングです。

創業時は実績がゼロだったあなたも、数年後、

  • 連続黒字の素晴らしい「決算書」を作り上げ、
  • 金融機関への返済実績を着実に積み重ね、
  • 毎月の「試算表報告」を誠実に行い、

という「完璧な優良企業」になっていたとしたら。

その時、あなたは金融機関に対して対等な立場でこう交渉できます。「これだけの実績を積んできた私(当社)に、次の融資は当然保証なし(プロパー融資)でお願いします。それができないなら他の銀行と付き合います」と。

個人保証は、あなたの経営努力次第で必ず外すことができるのです。

結論:あなたの「人生」を会社の「リスク」から切り離すという決断

「代表者の個人保証」。

それは、創業期の経営者が思考停止で受け入れてしまう最も重い十字架です。

しかし、現代の金融において、その十字架はあなたの「設立時の緻密な設計」によって、最初から背負わずに済む時代になっています。

あなたの会社を設立するその瞬間に、

  1. 潤沢な資本金を法的にロックする(財務の健全性)
  2. 公私混同を許さない完璧な事業計画を作る(公私分離)
  3. 認定支援機関(税理士)とタッグを組む(情報の透明性)

この3つの工夫を凝らすこと。

それこそが、あなたの個人の人生とあなたの家族の未来を、万が一のビジネスのリスクから完全に切り離す、唯一のそして最強の戦略なのです。

あなたの「挑戦」を、「家族のリスク」にしてはいけない。

その重い鎖を断ち切るための「会社の設計図」を、私たちプロと一緒に描きませんか?
まずは無料相談で、あなたの人生を守るための「最強の会社設立戦略」を私たちにご相談ください。

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記事執筆監修者

荒川会計事務所(経営革新等支援機関(認定支援機関))代表税理士・登録政治資金監査人・行政書士の荒川 一磨です。

    

会社設立と創業融資を得意とし、何でも相談できる話しやすいパートナーであることを心掛けている事務所です。

事務所所在地 〒160-0022 東京都新宿区新宿2-5-16 霞ビル8F

電話番号 0120-016-356

所属 東京税理士会四谷支部・東京行政書士会新宿支部

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