【インボイス】未登録の個人事業主への外注はどうする?「経過措置」の計算と、下請法違反にならない値引き交渉術【完全版】

「長年付き合いのあるデザイナーさんが、インボイス登録をしないと言っている…」
「一人親方の職人さんに、消費税分を払わないと言ったら怒らせてしまった…」
「システム開発のフリーランスから、値上げ要求が来た…」

インボイス制度の開始以降、多くの経営者や経理担当者がこの問題に頭を抱えています。 相手がインボイス(適格請求書)を発行できない「免税事業者」である場合、発注側(あなたの会社)は、原則としてその支払いに係る消費税を控除できなくなります。

つまり、「未登録の相手に仕事を頼むと、会社が負担する消費税が増える(実質的なコストアップ)」という事態が発生しているのです。

「じゃあ、増えた税金の分だけ報酬を値下げすればいいのでは?」

そう考えるのは自然ですが、ここに巨大な落とし穴があります。 相手との合意なしに一方的に値下げを強要したり、取引停止をちらつかせて登録を迫ったりすることは、「下請法(したうけほう)」や「独占禁止法」違反となり、公正取引委員会の厳しい指導対象となるからです。

さらに、インボイス対応に躍起になるあまり、発注側が指揮命令を強めすぎると、今度は労働法上の「偽装請負(ぎそううけおい)」と認定されるリスクも浮上します。こうなると、消費税どころではなく、巨額の社会保険料負担が発生します。

しかし、国も急激な変化を避けるため、一定期間は負担を軽減する「経過措置(けいかそち)」を用意しています。これを使えば、今すぐ全額損をするわけではありません。

この記事では、未登録業者への外注で「具体的にいくら損をするのか」の計算シミュレーションと、法律を守りながらコスト増を抑えるための「正しい交渉術」、そして業種別の具体的な対応策まで、プロの税理士が8,500文字超で徹底解説します。

【本記事の根拠となる主な法令】
  • 消費税法 第30条:仕入れに係る消費税額の控除(仕入税額控除の原則)
  • 改正消費税法 附則 第52条・53条:免税事業者からの仕入れに係る経過措置
  • 下請代金支払遅延等防止法(下請法):買いたたきの禁止(第4条)
  • 独占禁止法:優越的地位の濫用
  • 職業安定法・労働者派遣法:偽装請負の禁止

第1章:なぜ「未登録」だと会社が損をするのか?(仕組みの解説)

まずは、インボイス制度によって何が変わったのか、基本構造を理解しましょう。

原則:「預かった税金」から「払った税金」を引く

企業が納める消費税は、以下の式で計算します。

納税額 = (売上で預かった消費税) − (経費で払った消費税)

この「経費で払った消費税を引く」ことを「仕入税額控除(しいれぜいがくこうじょ)」と言います。

インボイスがないと「引けなくなる」

制度開始前は、請求書さえあれば誰に払っても引くことができました。 しかし現在は、「インボイス登録番号(Tから始まる13桁)が記載された請求書」がなければ、原則として引くことができません。

つまり、未登録の個人事業主に「税込11万円」を払ったとしても、経理上は「消費税を払っていない(単なる経費)」とみなされ、会社が国に納める消費税額が減らない(=会社の手出しが増える)のです。

第2章:激変緩和のための「経過措置(80%控除)」とは?

「いきなり全額控除不可になるのは厳しすぎる」ため、国は6年間の猶予期間を設けています。 これが「経過措置(けいかそち)」です。今すぐパニックになる必要はありません。

最初の3年間は「80%引いていい」

未登録業者からの請求書でも、一定期間は「払った消費税の○%」までは引いて良いことになっています。

期間 控除できる割合 会社の負担増
〜2026年(令和8年)9月30日まで 80% 控除可能 消費税相当額の
約2%
〜2029年(令和11年)9月30日まで 50% 控除可能 消費税相当額の
約5%
2029年(令和11年)10月1日以降 0%(控除不可) 消費税相当額の
10%(全額)

現在は「80%控除」の期間中です。 つまり、未登録業者に発注しても、消費税相当額の全額を損するわけではなく、「消費税相当額の2割(支払総額の約2%)」の負担増で済んでいます。

第3章:【シミュレーション】会社の負担はいくら増える?

具体的に計算してみましょう。 「毎月55万円(税込)」を支払っているフリーランスが、インボイス未登録だった場合の会社の損失額です。

モデルケース:支払額 550,000円(本体50万+税5万)

パターンA:相手がインボイス登録済みの場合

  • 支払った消費税:50,000円
  • 控除できる金額:50,000円(全額)
  • 会社の負担増:0円

パターンB:未登録(経過措置 80%適用)の場合

  • 支払った消費税相当額:50,000円
  • 控除できる金額:50,000円 × 80% = 40,000円
  • 控除できない金額(損失):10,000円

【結論】
現状(2026年9月まで)は、55万円の支払いで「1万円」のコスト増になります。
これは支払総額の約1.8%に相当します。
「たった1万円なら、関係維持のために会社が被ろう」と考えるか、「年間12万円も増えるなら値下げ交渉が必要だ」と考えるかは、経営判断になります。

第4章:【業種別】建設・IT・クリエイティブの「インボイス外注」攻略法

外注費の問題は、業種によって「依存度」や「力関係」が全く異なります。 主要な3つの業種について、実務的な対策を解説します。

1. 建設業(一人親方への対応)

建設業界は一人親方への依存度が高く、かつ彼らが免税事業者であるケースが非常に多いです。

  • 現状:「消費税を払わないなら現場に行かない」と言われると工事が止まるため、発注側(工務店等)が負担増を被っているケースが多いです。
  • 対策:
    「簡易課税」への変更を検討する: 自社が簡易課税(第3種:みなし仕入率70%)を選択すれば、外注先が登録・未登録に関わらず納税額が一定になるため、インボイスの影響を受けません(※売上5,000万円以下の場合)。
    インボイス登録を条件に単価アップ: 「登録してくれたら、手間賃を2%上げる」など、相手にもメリットのある提案で誘導します。

2. IT業界(フリーランスエンジニア)

エンジニアは単価が高く、インボイスの影響額も大きくなります。また、売り手市場であるため、強気な交渉が難しい側面があります。

  • 現状:エージェント経由の場合はエージェントが登録済みなので問題ありませんが、直契約の場合は交渉が必要です。
  • 対策:
    「2割特例」の案内: 未登録のエンジニアに「登録しても2割特例を使えば、税負担は売上の2%未満で済む」ことを説明し、登録を促します。ITエンジニアは原価が低いため、本則課税より2割特例が圧倒的に有利です。
    契約形態の見直し: 準委任契約の場合、成果物責任がないため「従業員(給与)」として雇用する選択肢もあります(※社会保険料負担との比較が必要)。

3. クリエイティブ(デザイナー・ライター)

比較的単価が低く、数多くの外注先が存在する業界です。

  • 現状:発注側が強く、一方的な値下げ通告(下請法違反)が横行しやすい危険な領域です。
  • 対策:
    少額特例の活用: 自社の売上が1億円以下なら、1万円未満の支払いはインボイス不要(帳簿のみでOK)です。ライター等の少額支払いは、相手が未登録でも全額控除できる可能性があります。
    定額での価格交渉: 「消費税分カット」ではなく、「今の税込金額(11,000円)を、新しい税込金額(10,800円)にさせてほしい」と、実損分(2%相当)のみの調整を丁寧に依頼します。

第5章:絶対にやってはいけない「違法な対応(下請法・独禁法)」

コスト増を避けたいからといって、以下のような対応をすると、公正取引委員会から「待った」がかかります。特に資本金1,000万円以上の会社は「下請法」の対象になる可能性が高いため、厳重な注意が必要です。

NG1:一方的な消費税カット(買いたたき)

「インボイス未登録なら、消費税分の10%は払いません。来月から税込50万円ね」
完全にアウトです。
現在は経過措置により、会社側の負担増は「約2%」しかありません。それなのに「10%」を値下げするのは、優越的地位の濫用(買いたたき)にあたります。

NG2:登録の強要

「登録しないなら契約を打ち切る」「登録しなければ値下げする」
これもNGです。
課税事業者になるかどうかは事業者の任意です。登録を強制することはできません。「お願い」の範疇を超えた圧力は違法となります。

NG3:協議なしの価格変更

「負担が増える分、2%値下げしますね(一方的に通知)」
NGです。
値下げの金額が妥当(負担増の範囲内)であっても、相手との「協議(話し合い)」なしに一方的に決定・通知することは認められません。必ず合意形成のプロセスが必要です。

第6章:正しい価格交渉の手順とトークスクリプト

では、どうすれば法に触れずにコスト負担を調整できるのでしょうか。 ポイントは「負担増の範囲内(約2%)」で、「双方合意の上で」価格を見直すことです。

ステップ1:現状の確認と影響額の計算

まず、相手が本当に未登録(免税事業者)のままいく方針なのかを確認します。 その上で、会社の負担増がいくらになるかを計算します(前述のシミュレーション参照)。

ステップ2:協議の申し入れ(交渉)

一方的な通告ではなく、相談を持ちかけます。

【交渉トーク例】
「インボイス制度の開始に伴い、〇〇さんが未登録の場合、当社の税負担が増加することになります。具体的には〇〇円の負担増となります。」
「今後も長くお取引を続けさせていただきたいと考えておりますが、この負担増分について、価格の調整(約2%程度の見直し)をご相談させていただけないでしょうか?」

ステップ3:妥当な値下げ幅の提示

提示する値下げ幅は、「会社が負担する実損額(消費税相当額×20%)」までとするのが安全です。 消費税全額(10%)カットを要求するのは、経過措置期間中は避けるべきです。

【提案のパターン】
A. 据え置き:信頼関係重視で、会社が負担増を被る(※技術力が高い相手の場合)。
B. 折半:「お互い痛み分け」として、1%程度の値下げで合意する。
C. 実損分値下げ:「消費税相当額×20%(約2%)」の値下げをお願いする。

ステップ4:合意と契約書の更新

合意が得られたら、必ずメールや覚書などで「合意の記録」を残し、新しい単価で発注書や契約書を作り直します。口頭だけの合意は後々トラブルの元です。

第7章:交渉時に絶対踏んではいけない地雷「偽装請負」

インボイス対応で最も恐ろしいのが、税金の問題を超えて「労働問題」に発展することです。 外注先にインボイス登録を迫ったり、業務内容に細かく口を出したりすると、「偽装請負(ぎそううけおい)」と認定されるリスクがあります。

「外注」なのに「社員」扱い?

形式上は「業務委託契約(外注)」であっても、実態として以下のような状況があれば、労働基準法上の「労働者」とみなされます。

  • 仕事の依頼を断れない。
  • 業務の遂行方法や時間について、発注者から具体的な指揮命令を受けている。
  • 勤務場所や勤務時間が指定・管理されている。
  • 報酬が「成果」ではなく「時間」で計算されている。

インボイス登録の強要がトリガーになる

「インボイス登録しないなら、社員になれ」と迫るのは危険です。 もし税務調査や労働基準監督署の調査で「実態は雇用である」と認定されると、以下のペナルティが発生します。

【偽装請負認定のペナルティ】
1. 消費税の仕入税額控除が否認される: 給与は「不課税」なので、過去に遡って消費税控除が取り消され、追徴課税されます。
2. 社会保険料の追徴: 過去2年分の社会保険料(会社負担分)と、本来徴収すべきだった源泉所得税を支払わなければなりません。

結果として、消費税の負担増(2%)どころではない、莫大なコストが発生します。

外注先との交渉においては、「対等な事業者としての関係」を崩さないよう、指揮命令権の範囲に十分注意してください。

第8章:経理実務での対応(経過措置の適用要件)

交渉が終わり、いざ支払いをする段階での経理処理について解説します。 経過措置(80%控除)を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。

要件1:区分記載請求書等の保存

相手から受け取る請求書は「インボイス」ではありませんが、以下の事項が記載された「区分記載請求書等」である必要があります。

  • 発行者の氏名
  • 取引年月日
  • 取引内容
  • 対価の額(税込)
  • 軽減税率の対象品目である旨(※該当ある場合)
  • 税率ごとに合計した対価の額(税込)

※これらは従来の請求書とほぼ同じですが、税率ごとの区分(10%対象〇〇円)が必要です。記載がない場合は、受領側(会社側)が事実に基づいて追記することも認められています。

要件2:帳簿への「80%控除」の記載

会計ソフトに入力する際、通常の「課税仕入(10%)」ではなく、「経過措置(80%控除)」の区分を選択する必要があります。 最近のクラウド会計ソフト(freee、マネーフォワード等)では、取引先設定で「適格請求書発行事業者ではない」と設定すれば、自動的に「経過措置80%」のタグが付くようになっています。

【注意】ここを間違えて通常の「課税仕入」として処理してしまうと、消費税の過少申告となり、税務調査で否認されます。必ず税区分を確認してください。

第9章:【FAQ】未登録業者への外注Q&A(20選)

最後に、実務で迷いやすいポイントをQ&A形式で詳細に解説します。

Q1. 簡易課税を選んでいる会社ですが、影響ありますか?

A. 影響ありません。

簡易課税制度を選択している場合、仕入税額控除は「売上税額 × みなし仕入率」で計算するため、実際の経費(相手が登録か未登録か)は計算に関係ありません。未登録業者への支払いが多くても損はしません。

Q2. 「2割特例」を使っている会社ですが、影響ありますか?

A. 影響ありません。

簡易課税と同様、2割特例も「売上税額」のみで納税額が決まるため、経費側のインボイス有無は影響しません。外注先が未登録でも気にせず取引できます。

Q3. 相手が「登録申請中」の場合はどうすればいいですか?

A. 後からインボイスをもらえば全額控除可能です。

一旦は未登録(80%控除)として処理し、登録通知後に相手から登録番号の通知を受ければ、遡って仕入税額控除が可能です。または、登録完了まで請求・支払いを保留する契約にするケースもあります。

Q4. 1万円未満の支払いはインボイス不要と聞きましたが?

A. 基準期間の売上高が1億円以下等の事業者のみ対象です。

中小企業(基準期間の課税売上高が1億円以下、または特定期間の課税売上高が5,000万円以下)であれば、1万円未満の課税仕入れについては、インボイスがなくても帳簿のみで全額控除できる「少額特例」が使えます(令和11年9月30日まで)。

Q5. 振込手数料を自社負担しました。インボイスは必要?

A. 原則必要ですが、少額特例やATM特例が使えます。

ATMでの振込手数料は「自動販売機特例」によりインボイス不要(帳簿のみ)です。ネットバンキングの場合はインボイスが必要ですが、前述の「少額特例」対象企業なら帳簿のみでOKです。銀行ごとにインボイスの提供方法(Webダウンロード等)が違うので確認が必要です。

Q6. 家賃を大家さん(個人・未登録)に払っています。

A. 事務所家賃なら経過措置(80%)の対象です。

居住用(社宅)は非課税なので関係ありませんが、事務所や店舗の家賃は課税仕入れです。大家さんが未登録なら、経過措置を使って80%控除となります。契約書にインボイス番号がない場合、新たに覚書を交わす必要はありませんが、登録状況の確認は必要です。

Q7. シルバー人材センターへの支払いはどうなりますか?

A. センターはインボイス登録しているはずです。

通常、シルバー人材センターは組織としてインボイス登録しています。会員個人が未登録でも、請求元であるセンターが登録していれば全額控除可能です。

Q8. 社員への出張手当(日当)はインボイスが必要ですか?

A. 不要です(帳簿のみで全額控除OK)。

出張旅費特例により、通常必要と認められる範囲内の出張旅費・日当・宿泊費等は、インボイス保存なしで全額仕入税額控除が認められます。

Q9. 公共交通機関(電車・バス)の運賃は?

A. 3万円未満ならインボイス不要です。

公共交通機関特例により、3万円未満の電車・バス・船舶の運賃は、インボイスなしで全額控除可能です。タクシーや飛行機は対象外(インボイス必須)なので注意してください。

Q10. 古物商ですが、個人からの買取はどうなりますか?

A. 古物商特例により、インボイス不要です。

古物営業許可を持つ事業者が、非事業者(一般個人)から在庫として買い取る場合、一定の帳簿記載があれば全額控除可能です(相手がインボイス発行事業者でないことが条件)。

Q11. 免税事業者との取引で、消費税相当額を「不課税」として処理していいですか?

A. ダメです。「課税仕入れ」として処理します。

相手が免税事業者であっても、取引自体は「課税取引」です。不課税にするのではなく、「課税仕入れ(80%控除)」として処理してください。消費税申告書上、経過措置対象分として集計する必要があります。

Q12. クレジットカード明細はインボイスになりますか?

A. なりません。

カード明細はあくまで決済の記録であり、インボイスの記載要件(税率ごとの消費税額など)を満たしていないことが多いため、原則として店舗が発行した領収書(レシート)の保存が必要です。

Q13. 接待交際費の相手がインボイス未登録店だったら?

A. 経過措置(80%)の対象になります。

接待相手がインボイスを発行できない店の場合、その支払いは経過措置の対象となります。接待費が多い会社は、店選びの基準に「インボイス登録店かどうか」を加えることも検討すべきです。

Q14. 経過措置の「80%」と「20%」はどういう意味ですか?

A. 「引ける額」が80%、「引けない額(損)」が20%です。

たまに混同されますが、経過措置は「80%控除」です。残りの20%分が控除できず、経費(または資産)として処理されます。

Q15. 未登録業者への支払通知書を作成する時の注意点は?

A. 税率や消費税額の記載方法に注意が必要です。

支払通知書をインボイスの代わりとする場合(買手負担のインボイス)、登録番号の記載が必要です。未登録業者の場合はインボイスになりませんが、区分記載請求書等の要件を満たす記載をしておくと、経過措置の適用がスムーズです。

Q16. 2029年10月以降はどうなりますか?

A. 完全に控除不可(0%)になります。

未登録業者への支払いに係る消費税は、全額が会社の負担(コスト)になります。それまでに取引の見直しや、相手方のインボイス登録が進むことが予想されます。

Q17. 副業社員に原稿料を払っています。インボイスは?

A. 通常は未登録でしょうから、経過措置を適用します。

会社員の副業レベルであれば免税事業者がほとんどです。支払調書(源泉徴収)とは別に、インボイス制度上の処理としては経過措置(80%控除)を適用します。

Q18. 海外企業(Amazon Web Servicesなど)への支払いは?

A. 「リバースチャージ方式」や「登録国外事業者」の確認が必要です。

海外からの電気通信利用役務の提供(電子書籍、広告、クラウドなど)には、特別なルールがあります。相手が「登録国外事業者」であれば仕入税額控除が可能です。AmazonやGoogleは登録済みであることが多いです。

Q19. 経過措置を使うために税務署への届出は必要ですか?

A. 不要です。

帳簿と請求書の保存要件を満たしていれば自動的に適用されます。

Q20. 源泉所得税と消費税、どちらから計算すべきですか?

A. 報酬総額(税込)に対して源泉徴収するのが原則です。

インボイス制度導入後も、源泉徴収のルールは変わりません。請求書で消費税額が明確に区分されている場合は、税抜金額を基に源泉徴収することも認められていますが、実務上は税込総額に対して10.21%を掛けるケースが多いです。

まとめ:法を守り、信頼を守り、コストを守る

インボイス制度は、「誰と付き合うか」を企業に問いかける制度でもあります。 コスト増を嫌って未登録業者を切り捨てるのか、それとも経過措置を活用しながら共存の道を探るのか。

重要なのは、「法律(下請法・独禁法)を知らずに交渉しないこと」です。 たった2%のコスト削減のために、長年の信頼関係を壊したり、公取委の指導を受けたりしては本末転倒です。

「この契約変更メールで問題ないか?」「うちの業種の場合、簡易課税に変えたほうが楽ではないか?」

迷っている方は、ぜひ荒川会計事務所にご相談ください。税務だけでなく、法務リスクも踏まえた最適な実務フローをご提案いたします。

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記事執筆監修者

荒川会計事務所(経営革新等支援機関(認定支援機関))代表税理士・登録政治資金監査人・行政書士の荒川 一磨です。

    

会社設立と創業融資を得意とし、何でも相談できる話しやすいパートナーであることを心掛けている事務所です。

事務所所在地 〒160-0022 東京都新宿区新宿2-5-16 霞ビル8F

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