【営業許可(許認可)が必要な事業一覧】会社設立前に確認すべき全知識を税理士が解説

会社の設立登記を終え、オフィスも契約し、いよいよ事業開始!その輝かしい門出の直前に、あなたのビジネスが、突然、法律という名の巨大な壁によって、完全に停止させられてしまうとしたら…?

「申し訳ございませんが、あなたの事業を行うには、
事前に、行政からの『営業許可』が必要です」

この「営業許可(許認可)」とは、特定の事業分野において、国民の安全や、社会の秩序を守るために、国や地方自治体が、事業を行うための「資格」を事業者に与える制度です。そして、もし、あなたの事業が、この許認可の対象であるにも関わらず、その存在を知らずに、あるいは、準備を怠ったまま会社を設立してしまった場合、その先に待っているのは、悪夢のようなシナリオです。

  • 許可が下りるまで、何ヶ月もの間、一切の営業活動ができず、売上はゼロのまま、家賃や人件費だけが出ていく。
  • 許可の要件を満たすために、会社の定款や、役員の構成を、設立直後に、費用をかけて変更しなければならなくなる。
  • 最悪の場合、借りてしまったオフィスの場所では、そもそも許可が下りないことが判明し、移転を余儀なくされる。

この記事は、あなたが、そのような取り返しのつかない事態に陥ることを、未然に防ぐための、「許認可の地雷撤去マニュアル」です。どのような事業に、どのような許可が必要なのか。そして、会社設立の「前」に、何を、どのように準備し、確認しておくべきなのか。その全ての知識を、新宿で数多くの企業の設立をサポートしてきた私たちが、徹底的に解説していきます。

第1章:あなたの事業は大丈夫?許認可が必要な事業、代表的な20業種

まず、あなたの事業が、許認可の対象となっていないか、以下のリストで確認しましょう。これは、数多く存在する許認可事業のうち、特に、起業時に相談が多い、代表的なものです。

事業分野 主な許認可の種類 主な管轄行政庁
飲食飲食店営業許可、深夜酒類提供飲食店営業開始届保健所、警察署
建設建設業許可都道府県知事、国土交通大臣
不動産宅地建物取引業免許都道府県知事、国土交通大臣
リサイクル・中古品売買古物商許可警察署(公安委員会)
人材労働者派遣事業許可、有料職業紹介事業許可厚生労働大臣(労働局)
介護・福祉介護保険事業所指定、障害福祉サービス事業所指定都道府県、市区町村
運送一般貨物自動車運送事業許可(緑ナンバー)運輸局
旅行旅行業登録観光庁長官、都道府県知事
美容・理容美容所・理容所の開設届保健所
宿泊旅館業営業許可、住宅宿泊事業(民泊)届出保健所
酒類販売酒類販売業免許税務署
医療・医薬品薬局開設許可、医薬品販売業許可保健所、都道府県
金融貸金業登録、金融商品取引業登録財務局、内閣総理大臣
探偵探偵業開始届警察署(公安委員会)
警備警備業認定警察署(公安委員会)
産業廃棄物処理産業廃棄物収集運搬業許可都道府県、政令市
保育認可外保育施設設置届都道府県知事
化粧品化粧品製造販売業許可都道府県
ペット関連第一種動物取扱業登録動物愛護相談センター(保健所)
食品製造菓子製造業許可、乳製品製造業許可など保健所

プロの視点:
このリストは、氷山の一角です。もし、あなたの事業が、少しでもこのリストに関連する、あるいは、人の安全や財産、公衆衛生に関わる可能性があると感じたら、必ず、会社設立の準備と並行して、「自分の事業に、許認可は必要か?」という調査を、最優先で行ってください。

第2章:【設立前のチェックリスト】許認可で失敗しないための「4つの要件」

「自分の事業には、許認可が必要だ」と分かったら、次に、その許可を得るための「条件(要件)」を、会社設立の「前」に、完璧に満たしておく必要があります。許認可の要件は、事業によって様々ですが、大きく分けて、以下の4つのカテゴリーに分類されます。

① 人的要件 ―「誰が」やるのか?

事業を行う人(経営者や、専門の従業員)に、特定の資格や、実務経験を求める要件です。

具体的なケーススタディ

  • 建設業許可:会社の役員の中に、建設業での経営経験が5年以上ある「経営業務の管理責任者」と、指定された国家資格や実務経験を持つ「専任技術者」が、常勤で在籍している必要があります。
  • 古物商許可:会社の役員が、過去に特定の犯罪歴がないことなど、「欠格事由」に該当しないことが求められます。
  • 飲食店営業許可:各店舗に、調理師や栄養士、あるいは、保健所が実施する講習会を受講した「食品衛生責任者」を、1名以上置かなければなりません。

設立前のチェックポイント:
会社の役員構成を決定する前に、必要な資格者や経験者が、メンバーの中に確実に存在するかを確認します。もし不足している場合は、要件を満たす人材を、社員として雇用するか、あるいは、役員として迎え入れる必要があります。

② 物的要件 ―「どこで」やるのか?

事業を行うための、事務所や店舗の「場所」や「設備」に関する要件です。

具体的なケーススタディ

  • 飲食店営業許可:厨房のシンクの数や、手洗い設備の場所、冷蔵庫の温度計の設置など、保健所が定める、極めて詳細な設備基準を、全てクリアしている必要があります。
  • 人材派遣事業許可:事業所の面積が、おおむね20㎡以上あることや、個人情報を取り扱うための、鍵のかかるキャビネットが設置されていることなどが、要件として定められています。
  • 古物商許可:営業所として、独立して管理できるスペースが確保されている必要があり、バーチャルオフィスや、一部のレンタルオフィスでは、許可が下りないことがほとんどです。

設立前のチェックポイント:
事務所や店舗の賃貸契約を結んでしまう「前」に、その物件の図面などを、管轄の行政庁(保健所や警察署など)へ持参し、「この物件の、このレイアウトで、許可は取得可能か」という、事前相談を必ず行うこと。これを怠り、契約後に許可が下りないことが判明するのが、最悪のシナリオです。

③ 財産的要件 ―「いくらで」やるのか?

事業を安定して継続するための、最低限の「財産(資金)」を保有していることを求める要件です。

具体的なケーススタディ

  • 建設業許可:申請の直近の決算書において、自己資本の額が500万円以上あること、または、500万円以上の資金を調達する能力があること(銀行の残高証明書などで証明)が、求められます。
  • 労働者派遣事業許可:基準資産額(資産の総額から負債の総額を引いた額)が2,000万円以上、かつ、そのうち現預金が1,500万円以上あること、という、非常に厳しい財産要件が課せられています。

設立前のチェックポイント:
会社の「資本金」の額を決定する際に、この財産的要件を、十分に考慮する必要があります。場合によっては、自己資金だけでなく、創業融資を事前に申し込むなど、設立時点での、会社の財産を、計画的に準備しておく必要があります。

④ 定款目的要件 ― あなたの会社の「憲法」は、大丈夫か?

そして、これこそが、会社設立の手続きと、許認可申請が、最も密接にリンクする、最重要ポイントです。

行政機関は、許認可の申請があった際、あなたの会社の憲法である「定款」を取り寄せ、その「事業目的」の欄に、法律で定められた特定の文言が、一字一句違わずに記載されているかを、虫眼鏡で見るように、厳しくチェックします。

具体的なケーススタディ
あなたが、不動産の仲介業を始めるために「宅地建物取引業免許」を申請したとします。もし、あなたの会社の定款の事業目的に、「不動産の仲介」としか書かれていなかった場合、申請は100%、却下されます。正しくは、「宅地建物取引業法に基づく宅地建物取引業」という、法律に基づいた、完璧な文言が記載されていなければならないのです。

設立前のチェックポイント:
会社の定款を作成する、まさにその段階で、将来取得する可能性のある、全ての許認可に必要な「魔法の言葉」を、事前に、完璧に調査し、盛り込んでおくこと。これを怠ると、設立後に、数万円の費用と、株主総会の手間をかけて、定款変更登記を余儀なくされます。

結論:許認可は、「設立後」の問題ではなく、「設立前」の戦略

営業許可(許認可)は、多くの起業家が、「会社を作ってから、考えればいいや」と、後回しにしてしまう、時限爆弾のようなものです。

しかし、ここまでお読みいただいたあなたなら、もうお分かりのはずです。

許認可の取得は、会社設立のプロセスと、完全に一体化した、設立前の「戦略」そのものです。会社の役員構成、資本金の額、オフィスの場所、そして、定款の事業目的に至るまで、設立のあらゆる意思決定が、許認可の成否に、直接的に影響を及ぼすのです。

これらの、法務、税務、そして、複雑な行政手続きが絡み合う、高度なプロジェクトを、あなたが、たった一人で、完璧に遂行することは、不可能に近いでしょう。

私たち荒川会計事務所は、単なる税務の専門家ではありません。あなたの事業計画を深く理解し、その実現に必要な許認可は何かを特定し、そして、その許認可をスムーズに取得するための、完璧な会社設立を設計する、あなたの事業の「総合プランナー」です。私たちは、提携する、その道のエキスパートである「行政書士」と、緊密に連携し、あなたの会社の、許認可取得から、その後の事業の成功までを、ワンストップで、責任をもってサポートします。

あなたの事業、スタートラインに立つ「許可」、本当に持っていますか?

会社を作ってから、「こんなはずじゃなかった」と後悔する、その前に。
まずは無料相談で、あなたの事業に必要な許認可と、その準備について、私たち専門家にご確認ください。

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