個人事業主として事業を成長させてきた、あなた。利益が順調に伸び、法人化を考え始めた時、あなたの頭の中には、ある魅力的なアイデアが浮かんでいるかもしれません。
「妻を経理担当の役員にして、給料を払えば、世帯の手取りが増えるのでは?」
「引退した父に、顧問として役員になってもらえないだろうか?」
「将来、この事業を継がせたい息子を、今のうちから役員に入れておこうか?」
家族を経営のパートナーとして迎え入れる「ファミリーカンパニー」。それは、適切に設計し、運営すれば、あなたの会社の税負担を劇的に軽減し、家族全体の資産を最大化し、そして、円滑な事業承継への道筋をもつけることができる、中小企業にとって、まさに「最強の経営戦略」となり得ます。
しかし、その輝かしいメリットの裏側には、税務署からの厳しい視線、そして、お金の問題が家族関係に亀裂を入れるという、見過ごすことのできない、深刻なリスクが潜んでいます。
この記事は、あなたが、その「光」と「影」の全てを理解し、ファミリーカンパニーという、強力でありながら、扱い方を誤れば自らを傷つける「諸刃の剣」を、賢く、そして安全に使いこなすための、完全マニュアルです。新宿で、数多くのファミリーカンパニーの設立と、その後の税務をサポートしてきた私たちが、その全てのノウハウを、ここに公開します。
第1章:【絶大なメリット】なぜ、賢い経営者は「ファミリーカンパニー」を選ぶのか?
まず、なぜ、多くの成功した中小企業が、家族を経営に参画させているのか。その理由である、5つの強力なメリットを、具体的に見ていきましょう。
メリット1:【最強の節税策】「所得の分散」による、世帯手取り額の最大化
これが、ファミリーカンパニーを目指す、最大の動機です。個人事業主や、社長一人だけの会社では、事業の利益の全てが、あなた一人に集中します。日本の所得税は、稼げば稼ぐほど税率が高くなる「累進課税」であるため、一つの大きな所得の山には、高い税率が襲いかかります。
しかし、例えば、あなたの配偶者を役員とし、その働きに見合った役員報酬を支払うことで、あなた一人の大きな所得の山を、二つの、より小さな所得の山に「分散」することができます。それぞれの山にかかる税率は低くなるため、世帯全体で支払う税金の合計額は、劇的に減少するのです。
ケーススタディ:会社の利益が1,500万円の場合
パターンA:社長一人が、役員報酬1,500万円を受け取る場合
社長個人にかかる所得税・住民税は、おおよそ約450万円となります。
パターンB:社長が役員報酬800万円、配偶者が役員報酬700万円を受け取る場合
・社長個人にかかる所得税・住民税:約180万円
・配偶者個人にかかる所得税・住民税:約150万円
世帯全体での所得税・住民税の合計は、約330万円となります。
このケースでは、所得を分散するだけで、年間約120万円もの、税負担の軽減が実現できるのです。さらに、配偶者に給与を支払うことで、あなたは「配偶者控除」の代わりに、配偶者自身が「給与所得控除」と「基礎控除」を使えるようになり、これも大きな節税効果を生み出します。
※社会保険料や各種控除を簡略化した概算値です。メリット2:【将来への備え】配偶者の社会保険と、役員退職金の準備
税金だけでなく、将来の安心を、会社のお金で築くことができるのも、大きなメリットです。
- 配偶者の、手厚い社会保障:これまで、あなたの扶養に入っていた配偶者(国民年金の第3号被保険者)が、役員として社会保険(健康保険・厚生年金)に加入することで、将来、受け取れる年金額が、国民年金のみの場合と比較して、格段に手厚くなります。これは、家族の老後の生活を、会社の経費で支える、究極の福利厚生と言えるでしょう。
- 家族全員分の「役員退職金」というゴール:あなた自身だけでなく、役員である家族それぞれに対して、会社は、将来、退職金を支払うことができます。例えば、あなたに5,000万円、配偶者に3,000万円といった形で、長年の貢献に報いる退職金を準備し、その全額を会社の経費にすることができます。これは、個人事業主には決して真似のできない、法人ならではの、最も効果的な資産形成術の一つです。
メリット3:【円滑な事業承継】未来への、スムーズなバトンタッチ
「自分の代で、この事業を終わりにはしたくない」。そう考える経営者にとって、ファミリーカンパニーは、円滑な事業承継を実現するための、最高のプラットフォームです。
将来、事業を継がせたいと考えている子供を、若いうちから役員として経営に参加させることで、帝王学を授けることができます。現場の仕事から、マネジメント、そして、最終的な経営判断まで、OJT(On-the-Job Training)を通じて、後継者として必要なスキルと経験を、計画的に積ませることができるのです。また、株式を、少しずつ、計画的に次世代へ移転させていくことで、将来の相続税の負担を軽減する、といった高度な税務戦略も可能になります。
メリット4:【経営の安定化】信頼できる「右腕」の存在
経営は、孤独な決断の連続です。そんな時、会社の数字や、内部事情を、100%共有でき、利害関係なく、本音で相談できる相手が、すぐ隣にいる。その心強さは、計り知れません。経理や総務といった、あなたが苦手なバックオフィス業務を、最も信頼できる家族に任せることができれば、あなたは、安心して、営業や商品開発といった、会社の売上を創出するコア業務に、100%集中することができます。
メリット5:【緊急時の備え】代表権のバックアップ
もし、社長であるあなたが、病気や事故で、一時的に経営判断ができなくなってしまったら、どうなるでしょうか。一人社長の会社では、その瞬間に、会社の全ての機能が停止してしまいます。しかし、配偶者などを、あらかじめ「代表取締役」として複数登記しておけば、万が一の際にも、もう一人の代表取締役が、銀行手続きや、重要な契約などを、滞りなく行うことができます。これは、会社の存続を左右する、重要なリスク管理です。
第2章:【重大なリスク】ファミリーカンパニーが崩壊する、5つの地雷
輝かしいメリットの裏側には、あなたの会社と、家族の関係そのものを、破綻させかねない、深刻な「地雷」が埋まっています。
地雷1:【税務調査】「名ばかり役員」への給与は、1円も認められない
税務調査官の視点:「奥様は、取締役として、毎月50万円の役員報酬を受け取っていますね。では、具体的に、どのような業務を、週に何時間、どこで行っていますか?その業務に関する、メールのやり取りや、作成した資料を見せていただけますか?」
これが、ファミリーカンパニーが、税務調査で、最も厳しく追及されるポイントです。ただ、節税のためだけに、実際にはほとんど働いていない家族を役員にし、給与を支払う。これは、「勤務実態のない役員給与」と見なされ、税務署は、その給与の全額を、会社の経費(損金)として認めません。
その結果、会社の利益が、支払った給与の分だけ、丸々加算され、それに対する多額の「追徴課税」と、ペナルティとしての「過少申告加算税」「延滞税」が、過去数年分に遡って、一度に課せられることになります。
地雷2:【役員給与のルール】「不相当に高額」な報酬も、否認される
たとえ、勤務実態があったとしても、その業務内容や、会社の他の従業員の給与水準と比較して、「不相当に高額」と判断された役員報酬もまた、その高額な部分が、経費として認められない可能性があります。「社長の親だから」という理由だけで、他の部長よりも高い給与を支払うことは、合理的な説明ができない限り、税務上のリスクを伴います。
地雷3:【公私混同】家族の馴れ合いが、会社の規律を蝕む
「社長の奥さんだから、遅刻しても誰も注意できない」「社長の息子だから、経費の使い方が少し甘い」。ファミリーカンパニーは、良くも悪くも、「家族」です。その馴れ合いの空気が、会社の規律を緩ませ、他の従業員のモチベーションを著しく低下させる原因となることがあります。
また、経営方針を巡る、家庭での些細な口論が、そのまま会社の経営会議に持ち込まれ、公私混同の、非効率な組織へと、変貌してしまうリスクも、常に付きまといます。
地雷4:【社会保険料】節税額を上回る、キャッシュアウトの増加
メリットの裏返しですが、家族を役員として社会保険に加入させると、その保険料の半分を、会社が負担しなければなりません。これは、会社のキャッシュフローを、毎月、確実に圧迫する、重い固定費となります。前述のシミュレーションのように、所得分散による節税メリットよりも、この社会保険料の負担増の方が大きくなり、結果的に、世帯全体の手取り額が、かえって減少してしまう、という事態も、十分に起こり得ます。
地雷5:【関係性の破綻】「離婚」や「相続」が、会社の危機に直結する
これは、誰もが考えたくない、しかし、絶対に無視できない、最大のリスクです。
- 離婚のリスク:もし、役員であり、株主でもある配偶者と、離婚することになったら、どうなるでしょうか。財産分与の対象として、会社の株式の一部を、渡さなければならなくなる可能性があります。離婚後も、元配偶者が、株主として、会社の経営に、口を出し続ける。そんな、悪夢のような事態も、法的には、起こり得るのです。
- 相続のリスク(争続):もし、社長であるあなたに、万が一のことがあった場合。あなたの会社の株式は、相続財産として、配偶者や、複数の子供たちに、相続されます。もし、後継者が明確に決まっておらず、相続人同士の仲が悪ければ、会社の経営権を巡る、骨肉の争い、「争続」へと発展し、会社そのものが、分裂・崩壊してしまうリスクがあります。
結論:ファミリーカンパニーは、「専門家」と共に、設計・運営する
ファミリーカンパニーは、諸刃の剣です。そのメリットを最大限に引き出し、リスクを完全にコントロールするためには、設立前の「設計」と、設立後の「運営」の両方において、専門家の客観的な視点が、不可欠です。
私たち荒川会計事務所は、あなたの会社の「外部の、もう一人の役員」として、ファミリーカンパニーの成功を、あらゆる側面からサポートします。
- 【設計支援】:あなたの家族構成と、事業計画に基づき、税金と社会保険料の、詳細なシミュレーションを行い、誰に、いくらの役員報酬を支払うのが、最も世帯手取りを最大化できるか、という「最適解」を、数字で明確にご提案します。
- 【税務調査対策】:「名ばかり役員」と指摘されないための、具体的な証拠(雇用契約書、議事録、業務日報など)の残し方を、徹底的に指導します。
- 【リスク管理】:将来の離婚や相続といった、不測の事態に備えるための、「株主間契約」の作成や、遺言書の準備について、提携する弁護士と共に、最適なアドバイスを提供します。
あなたの「家族の力」を、会社の「成長力」に、正しく変換しませんか?
その設計を誤れば、家族も、会社も、失いかねません。
まずは無料相談で、あなたの家族にとって、そして、あなたの会社にとって、最高の「ファミリーカンパニーの形」を、私たちと一緒に、設計しましょう。
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