【起業の資金調達】全7手法を徹底比較|融資・補助金・出資のメリット・デメリットを税理士が解説

素晴らしいビジネスアイデアは、あなたの事業を動かす力強い「エンジン」です。しかし、どれほど高性能なエンジンも、「燃料」がなければ、ただの鉄の塊に過ぎません。

起業における「燃料」、それこそが「資金」です。

あなたは今、起業という冒険のスタートラインに立ち、目の前の給油所(資金調達の世界)を見渡しているかもしれません。「レギュラー(融資)」「ハイオク(出資)」「特殊燃料(補助金)」…。様々な選択肢を前に、「自分のエンジンには、どの燃料が最適なんだろう?」と、途方に暮れてはいないでしょうか。

間違った燃料を選べば、エンジンはすぐに止まってしまいます。この記事は、あなたが最適な燃料を選び、力強いスタートダッシュを切るための「資金調達の完全ガイドブック」です。世の中に存在するあらゆる資金調達方法の特性を一つひとつ解き明かし、あなたの事業に最適な選択ができるよう、新宿で数多くの起業家の“給油”をサポートしてきた私たちが、丁寧にナビゲートします。

【全体像】まずは資金調達の3つのカテゴリーを理解しよう

複雑に見える資金調達も、その性質によって大きく3つのカテゴリーに分けることができます。このフレームワークを理解することが、最適な選択への第一歩です。

① デット・ファイナンス(Debt Finance)
「Debt = 負債」の名の通り、返済義務のあるお金を「借りる」方法です。最も一般的で、多くの起業家が活用します。
例:日本政策金融公庫からの融資、銀行融資、親族からの借入など
② エクイティ・ファイナンス(Equity Finance)
「Equity = 株式」の名の通り、自社の株式の一部を渡し、その対価として資金を「集める」方法です。返済義務はありませんが、経営権の一部を渡すことになります。
例:ベンチャーキャピタルからの出資、エンジェル投資家からの出資など
③ アセット・ファイナンス & その他
自らの資産を活用する方法や、上記2つに分類されない新しい手法です。
例:自己資金、補助金・助成金、クラウドファンディングなど

【手法別】全7種類の資金調達、メリット・デメリット徹底比較

それでは、具体的な7つの資金調達方法を、それぞれのメリット・デメリット、そして「どんな人に向いているか」という視点で詳しく見ていきましょう。

手法1:自己資金(すべての基本)

どんな方法?
あなた自身が、これまで貯めてきた預貯金を事業に投下する方法です。すべての資金調達の土台となります。

メリット
返済義務も金利もなく、会社の経営権も100%自分のものです。何より、金融機関から融資を受ける際に、あなたの「本気度」を証明する最も重要な指標となります。

デメリット
あなたの貯蓄額が、事業規模の上限になってしまいます。また、全財産を投下すると、事業がうまくいかなかった場合に生活まで破綻するリスクがあります。

どんな人向け?
すべての起業家にとって、必須の出発点です。

手法2:親族・友人からの借入(人間関係が資本)

どんな方法?
あなたの身近な人から、個人的にお金を借りる方法です。

メリット
金融機関のような厳しい審査がなく、無利子や低金利、柔軟な返済条件で借りられる可能性があります。

デメリット
返済が遅れたり、事業に失敗したりした場合、お金だけでなく、かけがえのない人間関係まで失うという最大のリスクを伴います。また、金融機関からは「自己資金」とは見なされないことがほとんどです。

どんな人向け?
活用する場合は、必ず「金銭消費貸借契約書」を作成し、ビジネスライクな関係を保つ覚悟がある人向けです。

手法3:日本政策金融公庫からの融資(起業家の王道)

どんな方法?
国の政策に基づいて創業者を支援する、政府系金融機関から融資を受ける方法です。特に「新創業融資制度」が有名です。

メリット
原則として無担保・無保証で借りられる、低金利、長期の返済期間など、起業家にとって圧倒的に有利な条件が揃っています。過去の実績よりも、事業計画の将来性を重視して審査してくれます。

デメリット
誰でも借りられるわけではなく、説得力のある精緻な事業計画書の作成と、厳しい面談をクリアする必要があります。

どんな人向け?
これから起業する、ほぼすべての起業家にとって、最初に検討すべき最もおすすめの方法です。

手法4:制度融資(地域密着型の選択肢)

どんな方法?
地方自治体・信用保証協会・民間金融機関の3者が連携して行う融資です。

メリット
信用保証協会が保証人となるため、実績のない起業家でも地元の銀行や信用金庫から融資を受けやすくなります。自治体による利子補給などで、金利が低く抑えられる場合もあります。

デメリット
関係機関が多いため、手続きが複雑で、融資実行までに時間がかかる傾向があります。また、信用保証協会に支払う「保証料」が別途必要です。

どんな人向け?
日本政策金融公庫と並行して検討したい方や、地元の金融機関と最初から取引関係を築きたい方に向いています。

手法5:補助金・助成金(返済不要の応援資金)

どんな方法?
国や自治体が、政策目的(創業促進、IT化推進など)に合致する事業者に対して交付する、返済不要の資金です。

メリット
最大のメリットは、返済義務がないことです。自己資本として扱えるため、財務基盤の強化に繋がります。

デメリット
公募期間が短く、競争率も非常に高いです。また、多くは事業実施後の「後払い」のため、一旦は自己資金で立て替える必要があります。申請書類の作成も非常に煩雑です。

どんな人向け?
自社の事業が、特定の補助金・助成金の趣旨に合致する場合に、融資と組み合わせて活用すべきです。

手法6:ベンチャーキャピタル・エンジェル投資家からの出資(急成長を目指すなら)

どんな方法?
自社の株式の一部を投資家に渡し、その対価として資金を調達する方法です。

メリット
融資では得られないような多額の資金を調達できる可能性があります。また、投資家から経営に関する強力なサポートや、貴重な人脈を紹介してもらえることも大きな魅力です。

デメリット
会社の所有権の一部を手放すことになり、経営の自由度が下がります。投資家からは、短期での急成長(IPOやM&Aによる売却)を強く求められるため、プレッシャーも非常に大きくなります。

どんな人向け?
革新的な技術やビジネスモデルを持ち、全国・世界規模での急成長を目指す、一部のIT系スタートアップなどに適した方法です。

手法7:クラウドファンディング(共感と資金を集める)

どんな方法?
インターネットを通じて、不特定多数の人々から少額ずつ資金を調達する方法です。商品やサービスを対価とする「購入型」が一般的です。

メリット
資金調達と同時に、事業開始前のテストマーケティングや、熱心なファンコミュニティの形成ができる点が大きな魅力です。

デメリット
プロジェクトを成功させるには、魅力的なリターン(返礼品)の設計や、SNSなどを駆使したPR活動に、かなりの労力が必要です。目標金額に達しないと、1円も受け取れない方式もあります。

どんな人向け?
魅力的なストーリーや、ユニークな製品・サービスを持つ、消費者向けのビジネス(BtoC)と相性が良いです。

【結論】あなたに最適な「資金調達の組み合わせ」とは?

ここまで見てきたように、資金調達には一長一短があり、「誰にとってもこれが一番」という絶対の正解はありません。

しかし、これから起業する多くの創業者にとって、最も現実的で、成功確率の高い王道の組み合わせは存在します。それは、

「自己資金」を土台に、
「日本政策金融公庫の創業融資」をメインエンジンとし、
条件が合えば「補助金・助成金」でブーストをかける

という戦略です。この最適な「資金調達ポートフォリオ」を、あなたの事業計画に合わせてオーダーメイドで設計し、その実現まで伴走することこそ、私たち起業支援専門税理士の最も重要な役割です。

どの方法が使えるのか、いくら調達できるのか、そのために何が必要なのか…。一人で悩まず、まずは私たちにご相談ください。あなたの会社の未来を創る、最適な燃料の組み合わせを、一緒に見つけましょう。

あなたの事業に、最適な燃料(資金)を。

まずは無料相談で、あなたの事業計画と資金ニーズをお聞かせください。
私たちが、最適な資金調達戦略をご提案します。

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