毎朝、決まった時間に鳴るアラーム。満員電車に揺られ、オフィスに向かう日々。
窓の外を流れる景色を眺めながら、ふと、あなたの心にこんな声が響くことはありませんか?
「このままで、俺の/私の人生は本当にいいのだろうか?」
「安定」という名のレールの上を走る、守られた安心感。一方で、心の奥で静かに、しかし確かに燃え続ける「自分の力で何かを成し遂げたい」「自分の人生のハンドルを、自分で握りたい」という情熱。
その間で引き裂かれるような葛藤は、真剣に自分の人生と向き合っている証拠です。この記事は、どちらが正しくて、どちらが間違っているかを決めるものではありません。あなたがあなた自身の心と深く向き合い、未来の自分が今日の自分に感謝できるような、後悔のない決断を下すための「思考の羅針盤」です。
起業という道の光も影も知り尽くした、新宿の起業支援専門税理士が、あなたの隣で一緒に考えます。
第1章:「サラリーマン」という安定。その光と、見えざる影
まず、あなたが今いる場所を、客観的に見つめ直してみましょう。
誰もが知る「光」(メリット)
- 安定した収入:毎月決まった日に、決まった額の給与が振り込まれる。将来の生活設計が立てやすい、何物にも代えがたい安心感があります。
- 限定的な責任と庇護:自分の役割に集中でき、最終的な責任は会社が負ってくれます。「会社の看板」と組織が、あなたを守ってくれます。
- 充実した福利厚生と社会的信用:手厚い社会保険、退職金制度、そして住宅ローンやクレジットカードの審査に通りやすいといった社会的信用は、会社員ならではの特権です。
しかし、その「安定」は、本当に永遠でしょうか?
私たちは、その「光」の裏側にある「影」からも、目をそむけてはいけません。
- コントロールできないキャリア:会社の業績や方針一つで、望まない部署への異動や転勤、最悪の場合はリストラも起こり得ます。あなたのキャリアの主導権は、会社に握られています。
- 収入の上限:どれだけ血の滲むような努力をしても、あなたの給与が来月2倍になることはありません。あなたの価値は、会社の給与テーブルによって決められます。
- 終身雇用の崩壊という現実(2025年現在):AIによる業務の自動化、加速するグローバル競争…。かつて日本企業を支えた「安定」という神話は、もはや過去のものとなりつつあります。会社という一つの船に依存し続ける生き方そのものが、実は大きなリスクを内包している、という見方もできるのではないでしょうか。
第2章:「起業」という挑戦。そのリスクと、何物にも代えがたい報酬
次に、あなたが憧れと不安の両方を抱く、「起業」という世界のリアルを見ていきましょう。
誰もが恐れる「影」(リスク)
- 不安定な収入:最初の数ヶ月、あるいは数年は、無収入か赤字になる覚悟が必要です。会社員時代の安定が、いかに恵まれていたかを痛感するでしょう。
- 無限の責任:事業の成功も失敗も、すべてがあなたの責任です。従業員の生活、取引先への支払い、借入金の返済…。その重圧は24時間365日、あなたの肩にのしかかります。
- すべてを自分でやる必要性:営業、マーケティング、商品開発はもちろん、これまで経理部や総務部がやってくれていた請求書の発行や税金の計算まで、すべてがあなたの仕事になります。
それでも挑戦する者を魅了する「光」(報酬)
これほどの影があるにも関わらず、なぜ人は起業を志すのでしょうか。それは、リスクを補って余りある、何物にも代えがたい「光」があるからです。
- 無限の可能性:あなたの努力と才覚次第で、収入に上限はありません。あなたの価値は、あなた自身が決めます。
- 絶対的な自由と自己決定権:誰と、どこで、何を、どのように働くか。あなたの人生の時間を、すべて自分の意思でデザインできます。
- 強烈なやりがいと自己成長:自分のアイデアが形になり、お客様から「ありがとう」と言われる喜び。社会に貢献しているという確かな実感。数々の困難を乗り越えるたびに、経営者として、そして一人の人間として、昨日までの自分では考えられないほど成長できます。
第3章:決断の前に。あなたの「心の声」に耳を澄ます5つの質問
さて、両方の世界の光と影が見えてきました。ここからは、あなた自身の心の中を探る旅です。静かな場所で、自分に正直に問いかけてみてください。
- あなたは、なぜ「起業したい」のですか?(お金のため?自由のため?社会貢献のため?その動機の根源は?)
- あなたが仕事を通じて、人生で本当に得たいものは何ですか?(安定?成長?挑戦?やりがい?あなたにとっての幸せの定義は?)
- あなたが最も恐れていることは何ですか?(失敗すること?収入がなくなること?他人の評価?その恐怖の正体を具体的にしてください)
- 5年後、あなたはどんな自分になっていたいですか?(どんな場所で、どんな顔をして、どんな仕事に情熱を燃やしていたいですか?)
- もし、今日が人生最後の日だとしたら、あなたは今の仕事を続けたことを誇りに思えますか?挑戦しなかったことを、後悔しませんか?
第4章:「起業リスク」はコントロールできる。賢者の戦い方
もし、あなたの心の声が「挑戦したい」と叫んでいるのなら。最後に、その挑戦を「無謀な賭け」から「勝算のある挑戦」に変えるための、賢い戦い方をお伝えします。
- リスク管理術1:徹底的な「準備」で不確実性を減らす
いきなり会社を辞めてはいけません。まずは副業から小さく始める。会社員のうちに、起業に必要なスキルを学び、人脈を作り、そして何より自己資金を計画的に貯める。この周到な準備が、成功確率を大きく引き上げます。 - リスク管理術2:国の「セーフティネット」を最大限に活用する
日本政策金融公庫の創業融資で、自己資金だけに頼らない強固な財務基盤を築く。返済不要の補助金・助成金を活用する。現代の起業家には、国が用意した多くの武器があります。 - リスク管理術3:一人で戦わない。「専門家」をチームに加える
これが、起業家が選択できる最も強力なリスク管理術です。事業計画の策定、資金調達、会社設立の手続き、設立後の経理や税務…。あなたが苦手なこと、専門外のことは、その道のプロに任せる。そうすることで、あなたはあなたにしかできない、事業のコア業務に集中できるのです。
結論:あなたの人生のハンドルを、誰かに預けたままでいいのか?
会社員でいることも、起業することも、どちらも尊い選択です。そこに絶対的な正解はありません。
しかし、唯一言えるのは、「自分で考え、自分で選んだ道」であるならば、その先がどんな結果になろうとも、そこには深い納得感と、何物にも代えがたい成長があるということです。
もし、あなたの心の中に、挑戦への炎が少しでもくすぶっているのなら。その小さな声を無視しないでください。「起業はリスクだ」と決めつける前に、「そのリスクをどうすれば管理できるか」という視点で、一度真剣に考えてみませんか?
「起業するか、しないか」
その人生の岐路で、一人で悩んでいませんか?
私たちは、無理に起業をお勧めすることは決してありません。
あなたの価値観と状況を丁寧にヒアリングし、あなたにとって最善の道は何かを、中立的な立場で一緒に考えます。
まだ誰にも話せていない、あなたの胸の内を、まずは私たちに聞かせてください。

