「会社を設立したいけど、手続きが複雑でどこから手をつけていいか分からない…」
「行政書士に相談すれば、全ての手続きを任せられるの?」
会社設立をご検討中の皆様は、このような疑問をお持ちかもしれません。特に、会社設立には「登記申請」という重要な手続きが不可欠であり、これには法律で定められた専門家(士業)の業務範囲が大きく関わってきます。
この記事では、会社設立における登記申請の概要から、行政書士ができること・できないこと、そして司法書士との明確な業務範囲の違いについて、詳しく解説します。さらに、スムーズな会社設立を実現するための専門家連携の重要性についても触れますので、ぜひ最後までご覧ください。
会社設立における「登記申請」とは?
法人格取得の最終ステップ
会社を設立する上で、最も重要な最終手続きの一つが「登記申請」です。
登記申請とは、設立しようとする会社の商号(会社名)、本店所在地、事業の目的、資本金の額、役員構成など、会社に関する重要な事項を法務局に登録し、公的に法人として認められるための手続きを指します。
この登記が完了して初めて、会社は「法人格」を取得し、法律上の主体として活動できるようになります。法人格がなければ、契約を締結したり、銀行口座を開設したり、従業員を雇用したりすることはできません。
法務局に登記される情報は、一般に公開され、誰でも会社の登記事項証明書(登記簿謄本)を取得して確認することができます。これは、会社の透明性を確保し、取引の安全を図る役割も担っています。
行政書士と司法書士:会社設立における業務範囲の違い
会社設立の手続きには、複数の専門家が関与することがあります。特に混同されがちなのが「行政書士」と「司法書士」の業務範囲です。
司法書士の「独占業務」:登記申請書の作成と申請代行
まず、明確にしておきたいのは、「登記申請書の作成」および「法務局への登記申請の代行」は、司法書士法によって司法書士の独占業務と定められているということです。
- 司法書士ができること:
- 会社設立登記申請書の作成
- 法務局への登記申請の代理
- 会社の役員変更登記、本店移転登記、増資・減資登記などの各種商業登記手続き
- 不動産登記に関する業務(会社が不動産を取得・売却する際など)
司法書士は、登記に関する専門家であり、法律の専門知識を基に、正確かつ迅速な登記手続きをサポートします。報酬を得てこれらの業務を行うことができるのは、司法書士に限られます。
行政書士の業務範囲:定款作成と許認可申請
一方、行政書士は、「官公署に提出する書類の作成」を主な業務とする専門家です。会社設立においては、登記申請書以外の、より広範な書類作成や申請業務を担当します。
- 行政書士ができること:
- 定款(会社の憲法となる重要書類)の作成代理:会社設立の根幹となる定款の作成や、公証役場での定款認証手続きのサポートを行います。
- 議事録(発起人会議事録、設立時取締役会議事録など)の作成:会社の意思決定を記録する重要書類を作成します。
- 就任承諾書などの設立関連書類の作成:取締役や監査役などの就任承諾書を作成します。
- 事業に必要な各種許認可申請の代理:会社設立後、事業を開始するために必要な営業許可、建設業許可、宅建業免許、飲食業許可など、多岐にわたる許認可申請を行います。これは、行政書士の主要な独占業務の一つです。
- 契約書や内容証明郵便などの作成
重要! 行政書士が登記申請を行えない理由
行政書士が「登記申請の代行」や「登記申請書の作成」を行うことは、法律(司法書士法)により厳しく禁じられています。もし行政書士がこれらの行為を行った場合、それは非弁行為(弁護士法違反)または司法書士法違反となり、行政書士も依頼者も不利益を被る可能性があります。この点は、会社設立を依頼する上で、最も注意すべきポイントです。
なぜ行政書士と司法書士の連携が重要なのか?
上述のように、会社設立には、行政書士が作成できる書類と、司法書士しか作成・申請できない書類が存在します。そのため、スムーズかつ適法に会社を設立するためには、これら二つの士業が連携して手続きを進めることが、お客様にとって最善の選択となります。
連携によるメリット
- ワンストップサービスに近い形で依頼できる:
行政書士事務所が司法書士と連携している場合、お客様は複数の専門家を探す手間を省き、窓口を一本化できるため、効率的に手続きを進められます。
- 専門分野の強みを活かした高品質なサービス:
定款作成や許認可申請は行政書士の得意分野であり、登記申請は司法書士の得意分野です。それぞれの専門家が自身の強みを活かすことで、手続き全体の品質と確実性が向上します。
- トラブルのリスクを軽減:
法律で定められた業務範囲を遵守することで、依頼者側が法的なトラブルに巻き込まれるリスクを回避できます。違法な手続きによる登記の不受理や、後々のトラブルを防ぐことができます。
- 事業開始までのリードタイム短縮:
許認可申請まで見越したトータルサポートを受けることで、会社設立から事業開始までの期間を短縮できる可能性があります。特に、許認可が必要な業種では、この連携が非常に重要です。
当事務所の連携体制
当事務所(行政書士事務所)では、会社設立をご希望されるお客様に対し、行政書士として以下のサービスを提供いたします。
- 会社設立に関するご相談・コンサルティング:事業内容や目的に応じた会社形態(株式会社、合同会社など)のアドバイス、資本金の決定、役員構成の検討など、設立前の準備段階からサポートします。
- 事業目的の策定支援:将来の事業展開を見据えた適切な事業目的の設定を支援します。
- 定款の作成代理・認証サポート:会社にとって最適な定款を作成し、公証役場での定款認証手続きを代行します。
- 設立時に関する各種議事録・書類の作成:発起人会議事録、設立時取締役会議事録、役員就任承諾書など、登記申請に必要な各種書類を作成します。
- 事業に必要な許認可申請の代理:会社設立後に必要となる建設業許可、飲食業許可、古物商許可など、あらゆる許認可申請をサポートします。
そして、最終的な「登記申請」のフェーズでは、信頼できる司法書士事務所と連携し、お客様の会社が確実に法人として登記されるよう、スムーズな引き継ぎと協力を徹底いたします。
これにより、お客様は「定款作成から許認可、そして最終的な登記まで、全ての手続きを任せられる」という安心感のもと、ご自身の事業準備に集中することができます。
会社設立は、新たな挑戦の第一歩です。複雑な手続きは専門家に任せ、安心して夢の実現に向けて歩み出しましょう。まずはお気軽にご相談ください。

